第7弾だよ。


by tsado17

約束(その1)

               ・・・・・・・・★1・・・・・・・・
 おいらが恋した女は
 港町のあばずれ、いつも。
 ドアを開けたままで着替えして
 男達の気を引く 浮気女。
 かもめ、かもめ
 笑っておくれ。
    (淺川マキ「かもめ」) 

俺の大好きな曲だ。よく口ずさむ。
すれっからしの淫乱女に、俺は何故か惹かれてしまう。
理由などない。好みの問題だ。

この歌を鼻にかけて口ずさみながら、ユキの汗で光った華奢な裸体、長い睫毛の下の潤んだ瞳、粘りつくようなねっとりとしたキスを、思い出す。そんなときはいつも下半身が熱くなっている。
ユキ、お前はいい女だった。そして、俺には特別な女だった。

情熱的で淫らな女。俺の大好物さ。
女の好みに文句をつけてもどうしようもないぜ。本能が命ずるんだ。致し方ないじゃないか。
知らず知らずに俺の魂が勃起するんさ。


ユキ、元気にしているか。
約束通り、俺、やっと、お前に負けないくらいの素敵な女性と一緒になれそうなんだ。
やっとやっとだぜ。
お前と別れてから、不毛で惨めな女漁りが続き、自虐的になって死にたい時もあった。でも、それにも、終止符が打てそうなんだ。

魂のパートナーのお前と交わした必ず幸せになるという約束。ずっと支えになってくれていたんだ。有難う。



                 ・・・・・・・・★2・・・・・・・・
ベッドの中で目覚める内野。
まだ働かない頭。むずがゆい鼻の奥。嗅覚が雨の匂いを敏感に感じ取る。
匂う。匂う。匂う。

クッ、クッ、クッ、ファッ、ファッ、ファッ、ファックション!

鼻孔(はな)の周りを掛け布で拭き拭き、ベッドから立ち上がる。眠い眼をこすりこすり、窓辺に近寄る。カーテンを少し開き、ホテルの外を見渡す。
まだ降ってはいない。降る前に鼻腔が反応するのはいつものこと。
視覚が嗅覚を裏付ける。空は黒い雲にどんよりと覆われている。
雨と指切りをして一日が始まった。メランコリーの朝が動き出す。

雨の気配は、心に鬱を引き寄せる。
雨が庭の草木の汚れを洗い流し地肌を晒し出すように、雨の陰鬱は心の被膜を洗い落とし、忘れていたもの、隠していたものを晒し出す。

鬱に心が乗っ取られ苦しんだ過去の記憶がよみがえる。
鬱病は、いつ、ぶりかえっても不思議はない。


俺は、孫のクリスのことでいろいろと世話を焼いてやったことから、内野忠雄と親しく付き合うようになっていた。
大学関係以外の人物と親交を結ぶことが皆無に近かった内野。並外れた女好きでハチャメチャな行動をする俺を、始めは警戒してなかなか心を開いてくれなかった。俺も生真面目で融通のきかない内野が好きになれなかった。
が、心の深層部で繋がるものがあったのだろうか。不思議なことに、今や、二人してマニラにいるときは、折に触れては気軽に呼び出しあい、遠慮なく何でも話をする間柄になっている。

「君は付き合ってみると、胡散臭い第一印象と違って、道理をわきまえた面白い男なんだねえ。その考え方と行動に、最初こそ途惑った。でも、一皮剥いたところでは筋が通っていて、血の通ったものであることも納得できた。新鮮だった。今までの人間評価の基準が根本から覆されてしまったよ」
「フ~ン」
「10歳以上の齢の差を意識することもなく、肩肘を張ることもなく、何でも話し合えるって、素晴らしいことだなあ。今までの交際範囲がいかに狭くて浅いものであったのか、思い知らされている。猜疑心など入り込む余地もなく、自然体で付き合える。そういう君のことを斉藤さんとか斉藤君とか呼ぶのは他人行儀で、どこか馴染めないんだ。かといって、斎藤ちゃんも、媚びの匂いがしていかにも軽い。何か適切な呼び方がないかなあ。名前の隆志から、愛らしく、タカちゃんなんて、どうだい?」
「タカちゃんかい。安っぽい響きだなあ。拒否。拒否。拒否。はっきりした理由はないんだけれども、嫌なものは嫌だ」
「そうか。無理強いはしないさ。そんなら、受け入れ可能なものを提示してくださいな」
「そんなに考えることでも、ないっしょ。呼び捨てでいいっすよ。隆志と呼んでくんさいよ」
「隆志か。たかし、たかしぃ、たかしっ。フンフン、フンフンフン。女が付き合ってる男を呼ぶようでもあるが。呼び易くていいんじゃないかな」
「そうか、じゃあ、決まりだな。ただし、猫撫で声で『たかしぃ、今夜あたり、入れてほしいんだけど・・』とか、ヒステリックな叱咤激励調で『たかしっ、もっともっと激しく突いてよお!』とか、いった使い方はするなよ」
「バカか、俺はオカマでも、ゲイでもないわい」
「そん代わり、あっしも内野さん、内野はんと呼ぶのは堅苦しいな。名前が忠雄だったよな。タダちゃんは嫌かい。何でもタダでやってくれそうで、都合がいいんだけどさ」
「拒否。拒否。拒否。断固、拒否。タダ酒、いつでも飲ませてくれるという条件がついても拒否だ」
「んじゃあ、面倒臭いから、ずばりジジイとでも呼ばせてもらおうか」
「おい、おい、おい。ジジイであることは否定しない。が、ジジイはいくらなんでもひどすぎる。聞こえが悪い。せめて、可愛らしく、ジイジくらいにしてくれないかな。東京ではそう呼ばれているんだ」
「誰に?」
「諸々の女達によ」
「なぬ、ちょっと聞き捨てならん発言やな。そんなに何人もの女と付き合ってるんかい? そんなにもてるなどと到底思えないんだけどな。体力的にも無理と違うんか。まあ、付き合うといっても、婆さんの茶飲み友達っつうこともあっか」
「ノー・コメントだな。まあ、想像におまかせする」
「いいっしょう。手を打ちまひょう。ジイジでいきますわ」

隆志にジイジと呼び合うようになると、何とも具合がよい。親密さがいっそう増した気がしている。


俺はコーラと毎日会っている。
結婚を決めての蜜月の時。まるで高校生の恋。二人とも夢中になっている。時間の許す限り一緒に行動し、いつも相手を喜ばせようと心がけている。
長い歳月で人格の一部になってしまった「遊び人気質の偽悪者」をすぐに改めるのは難しい。が、コーラにしか目が向かない優しい男に変貌しつつあるのが、自分でもわかる。
放蕩の愚かさと寂しさを味わい尽くした俺。今、命をかけて愛するたった一人の女がいる。やっとつかんだ幸せを捨てるようなことはもう絶対にありえない。


「ジイジ。おっはあ! 起きつるかい? 隆志ちゃんでちゅよ。今朝はどうなの? 元気モリモリ? 息子ビンビン? 珈琲、飲まないかあ。下の喫茶室で待ってるよお」
携帯電話から聞こえてくる隆志のノウテンキな声。苦笑させられる。朝9時だというのにやたらテンションが高い。上機嫌が伝わってくる。のべつまくなしのこのテンションにいつもは辟易させられる。が、落ち込んでいる今朝は有難い。
「これから、シャワー、浴びるところ。元気ナイナイ。息子ションボリ」
「そいつはまずい。息子ちゃん、いつもそうなの?」
「最後に朝立ちしたのは遠い遠い日の思い出。あの昂揚はすでに過去の栄光さ」
「よっしゃあ、これから緊急対策会議を開催する。議題は、ジイジの愚息の健康恢復や。どうや?」
「いいね、いいね、それ。ちょっと待ってて。15分くらいで降りてくから」
シャワーから出ると、大急ぎで身体を拭く。縮こまっているションボリ息子、親の意に逆らう愚かな息子が、嫌でも目に入る。苦笑する。今朝の議題か。心がブルーの今朝の自分が重なる。身だしなみを鏡でチェック。頬を両手で叩いて気合を入れ、ホテルの地階に降りていく。

隆志と差し向かいで腰を降ろす。相変わらずの他人(ひと)を小馬鹿にしたようなニヤけ面。でも、ほっとする。慣れというのは恐ろしい。このしまりのない不遜な顔を見て温かい気持ちが湧いてくるんだから。
落ちこみもかなりの重症か。
努めて明るく振る舞った。が、沈んだ心模様は伝染する。

「今朝はどうしたん? ジイジ。元気がないなあ。メンスかい?」
「いやあ、朝から気分最悪なのよ。メンスなのかな」
「ジイジ、あんさん、男やろ。メンスじゃない。オンスよ」
「そうか。そういえば下腹部が張って奇妙に重いな。998オンスくらいかな。なんだか今にも出血しそう気がする。隆志、生理ナプキン、持ってる?」
「アホ! トイレからペーパーでも持ってこい」

「ジイジ。出血って、お尻(けつ)の穴からか? 痔主だったものな」
「いぼ痔は、手術してとっくに治っておるわい」
「なんだい。大痔主落ちぶれて、今はちんまりと小作やっているってか」
「そうそう、そうよ。ちんまりチンコの小作人よ」

「不肖、内野忠雄、クリスのことが心配のあまり、思春期の少女の魂が乗り移っているらしいんだ。出血もそのせいかも」
「出血って、あながち嘘でもないんだ。出血幻想ってとこだな」
「今朝も起きたとき、メソメソと泣き出しそうだったんだ。お腹も痛くて気分がすぐれないんよ。少女の心と身体を持つ、か弱き初老男。それが私の今朝の真実よ。可哀そうだろ。憐れんでくんろ」
「ジイジ、冗談だろ」
「冗談で朝からこんな情けないこと言えるかい」

「隆志はオトメチックに滅入るってこと、ないの?」
「ないこともないさ。でも、対処法はしっかり心得ておる。心が弱っているときは、鬱積沈澱しているものを全部追い出して、心を空にするのが一番よ。そのために、美しい芸術作品を鑑賞しにいくんだ。それで、だいたい気分転換は完了さ」
「芸術鑑賞? 隆志がか? 似つかわしくないんだけどな。嘘だろ。鑑賞しにいくって、美術館へ行くんか?」
「アホ、常識で考えろ。そんな退屈なところ、あっしが出かけるわけないやろが。死んでる作品が並んでいるだけやんけ。裸婦像があっても、あんまりそそられない。あっしが眺めにいくのは、生きてる裸婦像。美しい女性の躍動する肉体よ。それこそ神様のお創りあそばせた最高傑作やないかいな。生身の官能的な芸術作品やろ」
「な~るほど。なら、納得。極めて隆志らしいものな」

「光の中でくねくねと動く曲線。妖艶の連なり。刻々変化するくびれと凹凸と陰影。汗ばむ弾力のある柔肌の白。眼に焼きつく陰毛の黒。揺れ動き、てり輝く乳房と尻。息遣いの聞こえてくる半開きの口。一糸纏わぬ若い女の剥き出しの裸体こそ、究極の芸術作品よ。目で追っているだけで『生きていることは素晴らしい!』と感動しちゃうんさ。本物の癒しやないかいな。命に栄養が補給され、明日を乗り切る活力が湧いてくるんよ」
「そら恐ろしい単純さ!」
「最初に胸にキューンとくる。次第に下半身の中枢の方で熱いものが湧いてくる。疲れてたるんでいた心にシャキっと芯が入る。もう、そこには再生されたあっしがいる。身体を震わして女の子の美しい裸に熱狂しているんよ」
「ふ~ん、あっ、そう」
「あっしには美しいものを美しいと感じ取る才能が人一倍備わっているようなのさ。美に感応する天性の資質を持つ奇跡の男と言っていいかな。神様に祝福された幸せな人間なのさ」
「どこから来るんだ、その自信、その軽薄さ。なんとも羨ましいな」
「ジイジ、誉めてるんか、それとも、馬鹿にしているんか」
「両方さ。あきれているんだ」
「昼から裸のオネエサマが踊っているお店、知ってるぜ。神様の創り給うた最高傑作の数々。拝みにいってみるかい? 効験あるぜい」
「う~ん、心は動く。けど、今日は遠慮しておく。少女の心が『行っちゃ、ダメ。行っちゃ、ダメ』って、囁いているんだ」
「ふ~ん、そりゃ、また、複雑なこって」


「俺、話したいこたくさんあって、いさんでここに来たんだ。なのに、ジイジのザーメンみたいにしけた面を見ていると、話す気がなくなった。ザーメン、じゃなく、ラーメンでも食いにいった方がいいか」
「おい、隆志、警告! 言葉が汚い。もっと上品に表現できないのか。恋をしている真っ最中なんだろ」
「見解の相違だな。ザーメンは美しい。生命を生み出す崇高な液体やろが」
「言っていることが矛盾している。今、『ザーメンみたいにしけた面』と言ったろう」
「そうか。ごめん。不適切な表現であった。俺は神ではない。往々して間違いを犯すこともある」
「ほう、開き直ったか」
「訂正する。『ベッドの上に放出されたザーメンみたいにしけた面』ならいいか?」
「なんだ、それ」
「最近、体内生産する崇高な液体の量が眼に見えて減ってしまっているんよ」
「歳をとれば、仕方がないな」
「シーツを汚した、少量の半透明の液体を見ていると、強気のあっしも、さすがに寄る年波を感じてしまうんだ。悲しくなるんだ。昔はもっと濃厚だった。量も2倍はあった。本当にしけた精液なんよ。それに、精液は女性の体内に放出されるべきものだろ。本懐を遂げずにシーツの上に放出された精液には哀しい宿命を感じてしまうんだ。あっしって、多感な心も持つ男でもあるんだ」
「じゃかしい。どこがだ」
「言葉に対する執念みたいなもの、感じないかい?」
「どこが? ザーメンという言葉が美しいという見解は支持しよう。でも、隆志は、他人の気持ちを逆撫でしたり、その場に波紋を巻き起こしたりするような、悪意に満ちた言い回しや無節操な言葉をわざと使う傾向がある。もう偽悪者ぶるのはほどほどにしておけよ」
「あっし、何を隠そう、世をすねた大詩人なんよ」
「あほんだら。コーラさんのためにも、良識ある綺麗な表現をするように、態度を変えていけよ」
「わかった。努力する」
「今日は謙虚だな。でも、努力するというのは、しないってことだろ」
「じゃあ。その方向で検討する」
「変わらん。どっちも、役人の答弁用語だ」
「20年以上、続けてきた心の持ち様は人格の一部になっていてよ。すぐには変わらん。偽悪と開き直りは、あっしのトレードマーク。でも、コーラと結婚すれば、あっしも人の子の親になる。そうも言ってられないか。本当に努力する」
「わかってりゃあ、いい」





                ・・・・・・・・★3・・・・・・・・
「コーラを愛し始めたからといっても、急に人格が変わったりはしないだろ」
「でも、愛しいコーラさんがいるんだ。ヌードの女を鑑賞に行ったり、他の女に心を泳がしたりするのはまずいんじゃないの?」
「わかってる。コーラは別格。絶対に裏切らない。コーラのいない人生なんて、もう考えたくもない。死を意味する。あっしが女癖の悪さを少しずつ直していくということでコーラも了承してくれている。とりあえず『他の女とのセックス禁止』を約束した。あっしも男だ。コーラ以外の生モノは絶対に喰わない。この約束は命にかえても貫く。コーラへの愛の証しとしてな」
「命を張って、浮気をしないってか。ちょっと、大げさじゃないの」


「実はよう。今朝はあっしの愛息もグンナリだったんよ」
「らしくないな。どうしたん?」
「よくぞ聞いてくれた。昨夜、眠る時間も惜しんで、コーラに、何度も何度も、何度も何度も、闘魂を注入しちゃってよ。崇高なる液体の最後の一滴まで出し切ったんよ。朦朧として世界が黄土色に見えていた」
「・・・・・」
「何度も何度も、何度も何度も、何度も何度もだぜ」
「うるさい! もういい! だんだん腹が立ってきた」
「ジイジ、立てるものが違うっつうの!」
「うるさい!」


昨夜は凄かった。感動的な夜やった。
普段は控え目で慎み深いコーラ。その淑女が仮面を脱ぎ捨てたんだ。
快楽をむさぼる淫らな天女。猥褻の海に溺れる狂った聖女。とにかく破廉恥女に大変身よ。
あんなに燃え上がったコーラ。あんなにセックスで主張をするコーラ。あんなに求め続けるコーラ。始めてみた。生霊にでも取り憑かれているようだった。

コーラの肉体が、あんなにも多弁で、あんなにも豊かな表現力を持っているとは、想像もしなかった。女性の肉体の神秘というものを、眼のあたりにした感じだった。

コーラのイメージが壊れた。
色欲の鬼と化した上気した顔。獲物を漁る血走った眼。桃色にほてり輝く隠微な肉体。じっとりと濡れた熱い性器。獣のような息づかい。悲鳴にも似た歓喜の咆哮。

あっしをリードし、あっしを翻弄した。ゾクゾクして震えがきちゃったよ。あっしの身体はコーラの意のまま。逆らうなんてとてもできない。コーラの奴隷さ。

こんな素晴らしいセックス。昔、日本で死ぬほど好きになったユキ以来だった。
背が高く肉体派のコーラ、細っそりした華奢なユキ。醸し出す雰囲気は全く別物だが、二人とも究極の淫乱女。そのまま死に至っても構わないような、熱くて、淫らで、感動的な性交を味わえてしまう点は全く変わらないんだ。
ユキに負けない素敵な女性を伴侶にするという約束。まず、一番重要なセックスの面で果たせたんだ。
泣いてしまったよ。涙が止まらなかった。

俺は、はサディストなんかじゃなく、真性のマゾヒストだったんよ。
大好きな女に支配される歓び。惚れきった女にすべてを投げ出してまかせられる幸せ。今まで経験したことのない悦楽だった。
生涯最高の夜やった。精も根も付き果てた。

夜が白み始めた頃、死んだように眠りに落ちた。そのまま死んでもいいと思った。
目覚めると、コーラがあっしの隣りで寝息を立てている。菩薩のような穏やかな顔。昨夜の狂乱が嘘のようだった。

シーツとベッドがグッショリ濡れている。激戦の地となった証しよ。
ジーナをソファーの上に疎開させ、コーラと俺は、二人の汗と分泌物にまみれて一体化し、死闘を繰り広げたんだ。コーラの性器が潮まで吹いていた。感動して泣いてしまった。
「潮吹きの潮ってオシッコだって説もあるぜ」
「確かに。興奮のあまりオシッコを漏らしたのかもしれない。でも、たとえオシッコであっても、いっこうに構わない。コーラのものはすべて素敵だ。コーラのオシッコなら、飲めと言われれば、喜んで飲む。ゴクゴクゴクゴク、音を立てて飲む」

汗、愛液、尿まみれの朝の目覚め。身体中、ベタベタ。風邪でも引きそうな気がした。
詩人の俺。その情感を詩にしてみたんだ。

  --------------------------------------------------------
     「聖なる朝」
男 覚醒する 
だるい 寒い 濡れたベッドに丸裸
萎びたペニス トロンとした痴れた眼
女の片脚が腹の上に乗っかっている

頭は二日酔いの朝 動かすと脳幹に響く
天井がグルグル回っている
ずっしりと重い鉛の肉体 力を振り絞る
身体を起こし女の脚をそっと下ろす

眠る女をじっと眺め入る
昨夜の夜叉の形相が一転 呆けた菩薩の顔
開いた口から涎が垂れ シーツにシミができている
長いマツゲの大きな眼 目頭に目ヤニがたまっている。
髪の毛は鳥の巣 使用済みのコンドームが髪飾り 

豊満な上半身
白いのし餅二つ 揉むと弾力が手に伝わる 
顔を寄せて 匂いと感触と味を楽しむ 
震える焦げ茶の突起 口をつけて優しく吸う

バスローブをかけた腹の向こう なだらかに隆起するビーナスの丘
刈り込まれた黒い茂み 三角型に広がる 
白っぽいものがこびりついている 男と女の激闘の残滓
丘の外れで谷間を覗く マグマ渦巻く鮮紅色の割れ目 
唇のようで何かを言っている

最高によかったわ 何度も何度もいったの 疲れちゃった 
お腹がすいた オシッコがしたい オナラも出そう

女 両腕を投げ出し マグロのように転がっている
黒々とした縮れた脇毛 女の闘魂と自然流と淫乱の象徴
首筋のキスマーク二つ 男の本気と執着と情熱の痕跡

グァォー、グァォー 耳を塞ぎたくなる大いびき
しばし静寂 無呼吸で酸欠 苦しくなって大きく息を継ぐ
クッ、クッ、クッ、グフォッ 全身がビクリと震える
鼻汁が飛び散り オシッコが漏れる 
 
はしたない寝姿 荒い鼻息 漂う口臭
それもこれも愛する女の一部
臭くても汚くても、すべてが受け入れられる
いや 匂いがきつく汚れているから 女がたまらなく愛おしくなる

命をかけて守らねばならない女 何物にも代えられぬ大切な存在
恋しくて 切なくて 涙が湧いてくる
女の瞼に優しくキス 混じりけのない愛の表現

プフッ 女の肛門から可愛い挨拶
それすらも あっしのもの
すべてが愛おしい

ブッ ブッ ブフォッ 
男 女への愛と慈しみをこめて 大きな放屁で返す 
   -------------------------------------------------------

「愛してるわ、隆志」
「俺もだよ。コーラ」
この状況でこんな定番の会話がどんなにすばらしいことなのか。わかるかい。自然と微笑みがこぼれる。
「身体がベタベタしている。口も匂うな。シャワーを浴びておいでよ」
「ええ、そうするわ」
コーラをそっと抱き起こす。ベッドの横に立つ裸の二人。
コーラのくびれた腰に手をまわし強く抱き寄せる。コーラは俺の首に手をまわして、しばらく熱いキス。
胸と下腹部が密着し、体温を感じ合う。お互いの存在を自分のものにする。
新しいバスタオルを持たせ、背中を押してバスルームに送り出す。
コーラ、まだ寝ぼけている。でも、ニコッと微笑んで、ふらふらした足取りでバスルームに消える。

次々と聞こえてくる。
オシッコする音。ウンチを出す音。オナラの音。トイレを流す音。歯を磨く音。そして、シャワーの音。
その間、重い身体にムチ打って、シーツと枕カバーを取り替える。コーラのためならつらくない。

「出すもの出して、身体を洗い流したら、すっきりしたわ。隆志も浴びてきたら。すっごく、気持ち良いわよ」
「うん、そうする」

ペニスを支え、勢いよく放尿。長い長い大量の放出。
たっぷりと練り歯磨き。ゴシゴシ、ゴシゴシ。
水圧いっぱい。冷たいくらいの温度。シャワーを浴びる。
気持ちいい! 
昨夜の疲れも、脳裏に残った痺れも、水と共に流れていく。

身体はけだるい。けど、精神は軽やか。
生き返った。新しい一日が始まる。
コーラへの愛を確信した朝。

コーラが本当の意味であっしのものになった。あっしが本当の意味でコーラのものになったと思ったんよ。あっしは世界一の果報者さ。

あんな悦楽を経験したんだもの、もう他の女と寝るなんてことは、金輪際、ありえない。





                 ・・・・・・・・★4・・・・・・・・
生き方の大きな違いを乗り越えてできた心の許せる友、ジイジは聞き上手だ。
ジイジが相手だとついつい余計なことまでしゃべってしまう。

甘えも手伝って、自分の心の中だけに収めておくのが負担に感じたり、誰にも知らせずにおくのがもったいないと思ったりしたことを、ジイジの絶妙の相槌につられて、独り言でも言うようにさらけ出している。それに、ジイジと話していると、解決策やアイディアが不思議と浮かんでくるんだ。
だから、ついつい余計なことまでしゃべってしまう。

顔を引き締める。こんな真面目な顔もするんだというところを見せてやるんさ。俺、結構な演技派なんだぜ。ジイジには見破られていることが多いけどな。

「ジイジ、恥ずかしいからずっと黙っていた。けど、白状するわ。チャランポランなあっしだが、若いころ、詩人か作詞家かになるのが夢やったんや。で、言葉に対する関心は人並み以上に高いはずだ。言葉は大切にしているつもりだ。表現は選んでいるつもりだ。一瞬にして、人の心を凍り付かせたり、その場をしらけさせたりするのは、言葉に対するセンスがないとなかなかできないことだぜ」
「そのようだな」
「あっしが、どうして人の嫌がる露骨な言葉をどんどん口ばしるようになったかわかるか?」
「生まれつきだろ」
「アホ! あっしだって子供の頃は心優しいあどけない美少年だった」
「美少年ってところあきらかに嘘だな」
「まあな。ヘヘヘ」



普段は大脳皮質にでも眠っている。が、時として、女のメタリックな高い声がこだまするように内耳の奥の方から聞こえてくる。たいてい、俺が性的妄想に耽って、自分でも自分の性癖が嫌になって耐え切れなくなったようなときに聞こえてくる。

「君って子は! 最低ね! 本当に、イヤラシイ! 大きくなったら立派なチカンになるわ。ケガラワシイったらありゃしない」

抑えてはいるが、冷たくヒステリックな響き。反論を許さないキッパリとした口調。
「イヤラシイ」、「チカン」、「ケガラワシイ」が俺の自己嫌悪のキーワードになっていく。その言葉に出会う度、俺の背筋に不快な電流がビビーっと走り抜け、ちょっくら落ち込んでしまうのだ。
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# by tsado17 | 2013-05-30 02:29 | 約束

約束(その2)

                 ・・・・・・・・★5・・・・・・・・
小学4年生。性の違いに強い関心を持ちはじめいた。早熟な悪ガキであった。気になっていたクラスの女の子の小森さんに向かって、ただ注意をひきつけたいだけで、「オマンコ、見せろ。オマンコ、やらせろ」というようなことを言って意地悪していた。皆に蛮勇をみせたいばかりに、女子便所へそっと忍び込んでオシッコをする小森さんを、戸の下の隙間から覗いたりもしていた。小森さんはそんな俺の幼稚な行動を冷たい視線で無視していた。というわけでもなかった。俺の覗きは知っていた風で、わざと見えやすいように陰部の位置をずらしたような気もしていた。小森さんの陰部から噴き出るオシッコをうっとりと眺めたのが、漠然と、女はわからない、女は魔物だ、と感じた最初の瞬間であったような気がする。

そのときの担任、佐々木先生は、すらりとしたスタイル、若くて涼しい眼をした細面の美人。
始業式の日、始めて会ったときに恋に落ちてしまった。
細長いきれいな手、ショートカットの下の濡れたようなうなじ、ふくらはぎからキュッと引き締まった足首。目が引き付けられ、心を奪われた。透明感のある妖精のような女性。先生の声は清らかな天使の囁き。聞いているうちにうっとりとして、とろんとした目つきの忘我の境地。言っている内容など、片方の耳からもう片方の耳に通り抜けていた。
「斉藤君、聞いてるの?」と、先生に頭をこずかれ、我に返るのだった。それすらもうれしかった。
子供の無邪気を装って、やたら先生にまとわりつき、手や太腿、腰周りをねちっこく触っていた気がする。後ろから抱きついて、弾力のあるオッパイをもろに掴んでしまい、心臓が破裂しそうになった。そのときだけはきつく睨まれ、手を強く叩かれた。
夜は夜で、寝ながら夢うつつに、歳とった小うるさい母親を先生にすり替えて、一緒にお風呂に入りオッパイに吸いついたり、膝枕に顔を埋めて陰部の匂いを嗅いだり、性的妄想を繰り返していた。様々のシュチュエーションで先生との会話をつくりあげ、空想を楽しんだ。
昼も夜も片時も忘れない、心をときめかす存在だった。

その身も世もないほどに憧れていた先生に厳しく叱責された。
さも汚らわしい物を見るかのように、魅力的な澄んだ眼を濁らせて、厳しく叱責された。

「斉藤君。トイレの小森さんを覗いているですって!」
「君って子は! 最低ね! 本当に、イヤラシイ! 大きくなったら立派なチカンになるわ。ケガラワシイったらありゃしない。その手でもう先生に触らないでね。ゾッとするわ。先生、軽蔑します」
「恥ずかしくないの。あなたのような不潔な子、大嫌い。許せないわ。廊下に立ってしばらく反省しなさい」

顔でナパーム弾が炸裂したかのように恥ずかしかった。
大好きな憧れの女性の容赦ない罵倒。痛烈な拒絶。
傷ついた。
悔しくて悔しくて、眼に涙をためていた。先生は、反省して泣いていると思ったようだ。

小森さんが担任に告げ口したわけではない。小森さんは、毅然としていて、そんな卑怯なことからも超越していた。
往々にして美人とブスはつるむが、告げ口したのはそのブスの方の片割れ、希美だった。
希美は俺に好意を抱いていた。ヤキモチから垂れ込んだようだった。

わが家は金持ちではなかったが、古い木造アパートを一棟、隣りの敷地に所有していた。希美は、そこの住人で、水商売の母親と若い男と一緒に住んでいた。
「インバイの娘だから、ノゾミちゃんと遊んではいけないよ」と母に強く言われていた。よくない言葉と感じていたが、インバイの意味がよくわからなかった。
母親は、立川の歓楽街で働いていたようだ。夕方になると、ケバい化粧をして露出度の高い服装で出ていく。子供心にもミニスカートにハイヒール履き尻を振って歩く姿が滑稽に思われていた。

禁じられたら破りたくなる。腕白な男の子の良識は所持していた。
学校から帰ったら、近くだから希美と遊ぶのは自然の流れ。それに、希美は男の子のようなさっぱりした気性。一緒に遊んでいても楽しかった。母親からもらう、子供にしては多額の小遣いで、駄菓子屋を二人して楽しんでいた。

小森さんにちょっかいを出していた頃、久し振り希美の部屋を訪れた。
「ユキちゃん、タカちゃんがトイレを覗いてるの知ってるよ」
「バレてたか」
「ユキちゃんのオマンコ、そんなに見たいの?」
「うん、見たい。小森は美人だから、ノゾミのとは違うような気がしてな」
「どうだった?」
「お前のとあまり変わりなかったぞ」
「よかった」
「でも、お前のパンツ、汚いけど、小森のはきれいだった」 

「タカちゃん、久し振り、お医者さんごっこしようか。私のオマンコなら、いくらでも見せてやるよ。もちろん、触ってもいいよ」
「う~ん、どうしようかな」
「それに、ノゾミのオマンコに毛が生えてきたんよ。チョロンとした薄いのだけど。見たいだろ」
「フ~ン」
「ヒロニイチャンに聞いたら、インモウって言うんだって。そのうち、オカアチャンみたいに黒いのでふさふさになるって」

「タカちゃん、お医者さんごっこなんて子供のやることだよ。それより、オマンコしようよ」
「何だよ。オマンコするって。オマンコって、ノゾミのオシッコ出すところだろ」
「ううん。オカアチャンとヒロニイチャンがやっていることもオマンコって言うんだって」
「フ~ン、何、やるんだ?」
「うちのオカアチャンとヒロニイチャン、夜になったら、ハアハア言いながらレスリングみたいなこと、やってるんだ。それ、オマンコって言うんだって。すっごく気持ち良いんだって。ヒロニイチャンが教えてくれた」
「変な声を上げて激しく動くから、私、目を覚ますの。喉が渇くみたいで水を持ってくるように言われるの」
「ヒロニイチャンのチンチンをオカアチャンのオマンコの穴に入れるんだって」
「あんな小さいところに、チンチン、入るのか?」

「ノゾミ。この前、お前のオマンコ、舐めたとき、しょっぱかったぞ。それに、お前のお尻、ウンコの匂いがした」
「今はお風呂で綺麗に洗っているから、大丈夫。そうしないと、ヒロニイチャン、怒るんだもん」
「私だけじゃないよ。佐々木先生のオマンコもきっとしょっぱいよ。お尻もウンチ臭いよ」
「嘘だ! 佐々木先生はお前と違う。ウンチなんか絶対にしない! オナラもしない!」
「だって、ユキちゃんもするもん。だから、佐々木先生も絶対する!」
[嘘つき! 俺、怒るぞ]
「ヒロニイチャンが言ってたんだ。どんな綺麗な女の人も、屁もすりゃ糞もするって。ノゾミ、それ、聞いて安心したんだもん」
「佐々木先生はするわけないだろ。お前なんかと違うわい!」

「佐々木先生ね。虫も殺さぬ可愛い顔をしていて、あれで男好きの発展家なんだって」
「男好きの発展家って、何だ」
「オマンコが好きで、いろいろな男とオマンコするってことみたいだよ」
「先生の悪口、言うな! 俺、先生のことを思うと、胸がキューンと痛くなるんだ」
「オカアチャン、佐々木先生を見たんだって。駅前のホテル『憩い』の廊下で、ハンサムな高橋先生と一緒に入ってきたのにすれ違ったんだって」
「嘘、つくな! 高橋先生って、結婚しているんだろ。小森先生がそんなこと、するわけがない」
「あのホテル、オマンコするところなんだよ。オカアチャン、仕事でよく使うんだって」 

「佐々木先生、このまえ、首にネッカチーフきつく巻いてたよね。ノゾミ、見たんだ。あの下に、赤くキスマーク、ついてたの。オカアチャン、ヒロニイチャンによくつけられているから、ノゾミ、知っているんだ。あれは、絶対キスマークだよ。オマンコやってるとき、高橋につけられたんだよ」
「嘘つき! それ以上、言ったら、お前と絶交だ」


大好きな憧れの女性の容赦ない罵倒。痛烈な拒絶。
傷ついた。
子供心にも、皆の前での、面と向かった侮辱は許せなかった。天邪鬼の血が燃え上がる。

それからは先生にわざと聞こえるように、イヤラシイと思われる言葉を連発したんさ。
「俺、先生のオマンコ、見てみたいな。インモウがふさふさしているんだろ。ノゾミが言ってたよ」
「先生、オナラもする、ウンコもするんだってな。ノゾミが言ってたよ」
「先生も男とオマンコしてるんだって。ノゾミが言ってたよ」
「先生、ネッカチーフでキスマーク、隠しているんだってな。ノゾミが見たってよ」
告げ口した希美への怒りもあり、希美をいつも引き合いに出した。
先生は、青筋を立てて怒ったが、俺は平然としていた。
挙句の果ては、母が学校に呼ばれた。問題児、斉藤君の誕生よ。
希美もからんでいると先生は考え、希美の母親も学校に呼ばれた。が、事態は急変。あっけなく騒ぎは沈静化してしまった。
それからは、先生は俺と希美に目を合わせることがなくなった。腫れ物にでも触るように扱った。
俺も、先生の身体に触れるようなことはしなくなった。先生への憧憬は急速にしぼんでしまっていた。

どんな事情があったのか、子供にはよくわからなかった。
大人の世界は子供の思っている以上に複雑で入り組んでいるんだと、ぼんやりと意識していた。

まもなく、高橋先生は他校に転勤となった。
期を同じくして、佐々木先生が退職した。
「先生、一身上の都合で、教師を辞めることにしました」

好きだった女との最初の別れ。俺は何の感傷もなかった。
先生は希美の顔を恨みたらしく見ていたような気もする。

佐々木先生、若くて綺麗なだけで、教育的な配慮に欠けた軽薄な女だったと今はわかる。
でも、俺には、生涯、忘れられない存在となった。

まず、教師というやつを信用しなくなった。
本気で愛した人間に裏切られる我が人生を暗示させる出来事だった。

そして、
俺のトラウマの根源。
潔癖な道徳観憎悪の原点。
偽善者ぶった権力への反抗の起爆力。





                 ・・・・・・・・★6・・・・・・・・
中学・高校は、問題児の先行きを心配した両親の強い意向で質実剛健が気風の私立の男子校に通わされた。
勉強がそんなにできるわけでもなく、スポーツに打ち込むわけでもなく、凡々とした毎日を送っていた。内向的な性格の暗い、目立たない存在。他の生徒に敬遠された。

好色であることには変わりなかった。異常なほどセックスに興味を持ち、勉強の傍ら、エロ雑誌を濫読し、性の知識を積み上げた。裸の女の写真を見ながら、一日一回以上はオナニーに耽った。
電車やバスの中では、揺れで身体の接触できる僥倖を期待して、無意識に綺麗な女性の隣りを陣取った。
暴走族等の不良分子となって社会に反抗するなんてのは興味の対象外。反社会的行為といえば、干してある女性もののパンティーの拝借、家の庭から隣りの女子大生の風呂覗きといった方向に限られていた。
近所の女子高へ通う女子生徒への勇気を振り絞ったガールハントはことごとく失敗。醸し出すエロい雰囲気が嫌われたようだ。

塾へは、女の子と身近に接する唯一の機会だったから、喜んで通った。授業終了後、一人残って、机の中に残していった好きな女の子の鼻をかんだ紙を舐めては興奮し、また、その子が尻にひいていた座布団に顔を埋めて匂いを嗅ぎながら床の上で自慰をした。そんなときだった、佐々木先生の声が聞こえてくるのは。


高校に入ってから、学校が近いらしく、セーラー服姿の小森さんに、時々すれ違った。一段と可愛くなって色気づいていた。いつも違う男の子を引き連れていた。
そんなある日、始めて声をかけられる。
「お~い、変態君、元気にしているか。まだ、覗き、やってる?」
俺は顔を真っ赤にして俯いて通り過ぎた。後ろから、男の子と快活に笑い合う声が聞こえてきた。
希美は、中学に入ると、すぐに引越し。消息が途絶えてしまった。



コンビニでエロ雑誌を立ち読みしていたときだった。制服を着ている女子高生に声をかけられた。
「もしも~し、お取り込み中、申し訳ありません。ひょっとしてタカちゃんじゃ、ございませんか?」
大きな口、アグラをかいた低い鼻、左の口下に薄茶色のホクロ。見覚えがある。
小学生のチビだったのに、ボインボインのセクシーな身体、男好きのする色っぽい顔に変身している。
「ノゾミ? ノゾミだよな。懐かしい。元気だったか。今、どうしてるんだ?」
「オカアチャンと二人で、隣町のマンションに住んでるんだ。ヒロニイチャンとはとうとう破局したのさ。あたしが、あんな中年男、嫌になって、セックスさせてやらなくなったら、家に寄りつかなくなったんだ。オカアチャンは、しばらくがっくりしていたけど、今はもっと若い男に夢中になっているのよ」
「ノゾミんところも、変わったんだ。俺だけか、変らないのは。チッ」
「タカちゃん、そこの喫茶店で珈琲でも飲もうよ」
「ああ、いいぜ」

「私、タカちゃんにはすっごく感謝しているんだ。だって、誰も遊んでくれなくなったとき、タカちゃんだけは変わらなく優しくしてくれたもの。うれしかった」
「今でもタカちゃんのこと、好きだよ。だけど、傑作だったよな。タカちゃんとセックスの真似事したの、覚えてる?」
「覚えてるさ」
「タカちゃんの小さいチンチン、大きくしようといくらしゃぶっても、全然大きくならないんだもの」
「ノゾミが気持ちよくなるから我慢してって、言うから、我慢して待っていたのに、全然気持ちよくならないし、あきちゃった」
「ノゾミのあそこを舐めているとき、オシッコが漏れてきて変な味がした」
「そんなこともあったっけ」
「ノゾミの穴に入れようとしたけど、全然、入らなかったよな」

「その後、どう。チンチン、大きくなった?」
「もちよ。裸の女の写真を見て、オナニーするときなんか、カチンカチンだぜ」
「私は、あの後、中学時代、毎日のように、ヒロニイチャンとセックスしていたんだ。いろいろと仕込まれた。すっかり、女の身体になってるぞ」

「タカちゃんはどうなの? 女とやってるの?」
「ノゾミ、恥ずかしいんだけど、俺、まだ女とやったことないんだ」
「ウヘェ~、タカちゃん、まだ童貞なんだ」

「タカちゃん、もしタカちゃんさえよかったら、私、タカちゃんの最初の女になってもいいんだけど」
「ほんとかあ! ノゾミ。俺、早く筆おろししたかったんだけど、そのチャンスがなくてさ。よろしくよろしくお願いしま~す」
「じゃあ、これから、私のマンション行こうか。オカアチャンは夜中にならないと帰って来ないしさ。ここから15分くらいのところなんだ」
「ウワァ~、興奮するなあ。何か、用意するものはあっか?」
「何にもないよ。コンドームはオカアチャンの鏡台にたくさん入っているし、歯ブラシは、私のでいいよね」
「コンドーム、使うんか。初体験だ。ドキドキするな。俺、はめ方、分かるかな」
「始めは、ノゾミが、セッティングしてやっから、心配すんな。その代わり、タカちゃん、自転車、こいでよ。私、後ろに立ち乗りするからさ」
「オーケー、レッツ・ゴー!」


「ノゾミ、よかったあ! 感激したあ! オナニーなんかと比較にならないな。最高によかったあ! 本物はやっぱり全然違うな。よかったあ!」
「でしょう。私も良かったよ。タカちゃん、テクニックはないけど、激しいんだもの」
「俺、ノゾミのこと、好きになった。また来てもいいか?」
「もちよ。私も、タカちゃん、好きだもの」

「タカちゃん、お願いがあるんだ。来たとき、ノゾミに算数、教えてくれない? 私、卒業がかかっているんだ」
「もちろん教えるよ。ノゾミ、代わりに、俺にセックスのテクニック、教えてくれよ」
「いいわよ。ギンギン、鍛えてやるよ」

希美は数学の先生に言われたそうだ。
「せめて、小学校高学年の算数ができるようになりなさい。それができないと、社会に出てから本当に困るよ。宿題は良いから、この算数のドリルを毎日やりなさい。そうすれば、卒業できるように取り計らいます」
自費で算数のドリルを買ってくれ、放課後、居残って算数も教えてくれたそうだ。その度に触られたけれども、生徒思いの優しい先生だったのだそうだ。
 

エロ雑誌でのせんずりは、卒業することができた。 
高校卒業まで、週3回のペースで希美のマンションに通っていた。家には、友達のところで勉強してくると言っていた。嘘ではなかった。
セックスの合間、合間に、ノゾミは算数のドリル、俺は数学の問題集をやっていた。次の性交という目的があるから、勉強ははかどった。
最高8回という記録を作ったが、普段は、2、3回のことが多かった。

数学の試験で、始めてベストテンの順位を取った。
母親は喜んだ。それからは、数学の問題集を持って、夜、出かけるのを好ましい目で見るようになった。

希美の上に乗って出し入れしている最中に、希美の母親が帰ってくることもあった。
「オカアチャン、算数のドリル、すごく進んだよ。今、タカちゃんと休憩中なんだ」
「あら、タカちゃん、久し振り。ノゾミに算数、教えてくれているんだってね。ノゾミ、可愛がってね」
あっけらかんとしたものだった。この親子には、世間の常識というものを考える必要がなかった。

希美は、高校を卒業すると、美容師の学校に通い始めた。
「オカアチャン、新しい男をマンションに引き入れたんで、ノゾミ、マンションを出ることにしたんだ。タカちゃん、今まで有難うね」
「ノゾミ、こちらこそ、感謝しているよ」
「あたしの夢、普通の平凡な家庭を作ることなの。私の家、普通でないの、自分でもわかってた。子供の頃、ずーと、タカちゃんの家が羨ましかったんだぞ。知ってた?」
「悪い。知らなかった。ノゾミ、元気でな。その夢、実現しろよ」


  


               ・・・・・・・・★7・・・・・・・・
大学に入って1年、バイトと女に明け暮れた。出席日数が成績に必須の科目以外は、授業にほとんど出なかった。
が、一方で、小説、詩集、文学評論、哲学等の分野の本を、新書から全集まで、猛烈な勢いで読んだ。
アダルト関係の猥褻な本は高校時代で卒業していた。

希美に鍛えられた性交のテクニックには、重宝した。なんとか落した女達を歓ばせ、女達の方から、2回、3回と逢うことを望まれることが多かった。
常に複数の女と親密に関係。女の素晴らしさといやらしさを人並み以上に経験しながら、男を磨いていった。

大学2年を過ぎると、女漁りには飽きがきていた。やれる女のストックが十分あり、新しい女を獲得する必要はもうなかったのだ。

女への関心が薄れると、世の中で当たり前として罷り通っていることに疑問を持つようなり、物事を深く考えるようになっていった。
詩人になろうと勢い込み、気負って生きていた。
拙い詩をたくさん書き、詩人の心、詩人の眼を研ぎ澄ますことに夢中になっていた。


泣かず飛ばずの小劇団に属する尚美は、劇作家を夢見る、演劇一途の女子学生。
小柄で、凹凸の少ない、まずそうな肉体。少しやぶにらみの眼を持つ、衆人の認めるブス顔。取り柄は、抜けるような白い肌と若さだけ。

その尚美が居酒屋でなよなよしたヤサ男に振られる場面に遭遇する。泣きながら、男を小気味よく打ちのめす言葉の迫力に感嘆。普段なら、外見的に全く興味の対象外の女なのだが、俺の下半身が何故かヤル気マンマン。詩人の心が女の言葉の魔力に軟派されたのかもしれない。

「彼氏、チャラい女とずらかっちゃたな。男のいない部屋に、これから一人寂しく帰るんだ。ちょっと同情するな。もし、もしよろしかったら、独り寝の無聊をお慰め致しましょうか?」
「君、それだけ言えるってことは、セックスに自信があるんだろうな。私は相当な好き者よ。そんな私を満足させられて?」
「悔し涙を歓びの涙に変えるくらいの自信はありまっせ」
「よっしゃ、それだけ言えるんなら、私のアパートに一緒に帰ろうか」
意気投合。タクシーの中でずっと熱い熱いキス。
部屋に転がり込むと、すぐに服を脱ぎ捨てる。躊躇することなく全裸で抱き合う。
身体の秘境への羞恥心をかなぐり捨てたキス。あられもない格好での抱合。お互いが、真面目そうな外面とは裏腹に、ただれた乱れた性的嗜好を内面に所有する似た者同志であることを得心。出会いを喜び、今後も体のつきあいを続けていくことを了承しあった。

近くのコンビニでカップラーメン4個とコンドーム半ダースを買って休憩し、再び、本腰を入れて、歓び合いに没入。
調子に乗って、俺が、後ろからはめながら、詩人として生きる決意を宣言。女も、俺の上に跨って、劇団を立ち上げるなどと、夢を語る。
女の斬新で、かつ、危うい演劇論に耳を傾けながら、乳房、性器、肛門と、身体中を舐めまくる。しゃぶりまくる。
女、上気した心、恍惚の身体、陶酔の表情。
そして、二人して、思い通りに行かない人生に怨みと怒りをぶっつけながら、分厚いカーテンの隙間から、朝の光がさしてくるまで、気力と体力の続く限り、ただれた乱れた性交に没頭。

激しく文学論、そして、激しく性交。熱く文学論、そして、熱く性交。青臭い文学論、そして、息臭い性交。
これも、また青春。
性交と勉強とに交互に耽った希美と一年を思い出す。人間、形を変えて、同じようなことをするもんだと、思わず笑ってしまった。

尚美に耳の痛い指摘もされた。
「君、詩人になるといきがっているけど、詩人じゃ飯は喰えないわよ」
「大きなお世話だ。そんなこと、百も承知さ。俺は大学を出たら、普通に就職するつもりでいる。でも、詩人の看板は降ろさない。詩を書き続けるよ。詩は飯を喰う道具じゃない。それが俺の矜持さ」
「君の詩、いくつか読んでみたけど、自分の容貌にコンプレックスがあるみたいね。美を憧憬化、理想化し過ぎよ。美と醜は切り離せないと捉えてみる必要があるんじゃない? 私が今書いている戯曲は、己の中の美しさと醜さを巧みに使い分けて、女達を惹きつける不倫教師の話よ」
てやんでえ、容貌にコンプレックスを持っているのはてめえだろが。いつも、頭の軽いハンサム男を自分の傍に侍らせたがっている。

「でも、とても気に入った詩が一つあったわ。『オシッコする女』は秀逸ね。何度か口ずさんでみたわ。可愛い少女が最も美しく輝くときって、オシッコをしている醜い瞬間なのよね。わかるなあ」
何、言ってんだい。あれは汚れのない子供の感受性を素直に表現しただけだい。
「それから、『奇跡のボボを持つ女』という詩も良いわね。ジーンときたわ。自分の醜さに心を痛めていた魔女ボボが、配下のエンゼル、ヴァジャイを使って、男達に快楽を撒き散らし続け、美の女神エクスタシスになってしまうというストーリー仕立ての詩。面白い試みだわ。醜悪は情況次第で美に昇華するのよね。美と醜は切り離せないコインの裏表なのよ」
尚美、その詩、お前のことをイメージして書いたんだだけどなあ。気がつかれなくて良かった。
「ねえ、ねえ、斎藤君、私のオシッコ、飲んでみない? 私、まだ飲まれたことがないのよ。焼けつくような私の願望。醜悪で汚いものって、すごく美味かもしれないわよ」
冗談じゃないやい。『オシッコする女』のモデルの女性のオシッコなら歓んで飲む。だけど、不細工なお前のオシッコを飲むと、その場で吐きそうな気がするわ。

容姿のことを忘れて、陰部を激しく交えて通じてみると、尚美は、高いソプラノで歓喜の歌を響かせる、高感度の肉体と高性能の女性器を持つ貴重な女だった。今まで交わった中で最高の道具の持ち主だと思う。ペニスを割れ目に差し込んでいると、きつい締め付けがきて、股間が快感にジワリと制圧され、あっという間に昇天に導かれる。我を忘れて大声で叫んでいたと思う。
できることなら、もうしばらく彼女と付き合っていたかった。というより、もうしばらく彼女の奇跡の女性器を味わっていたかった。
だが、やはりヤサ男の演劇青年と付き合い出して、1ヶ月で破局。
俺は彼女の美意識の許せる範囲に存在していなかったようだ。
自信のあるブスは美に対して決して妥協をしないことを納得。
オシッコを飲んでいたら、もう少し付き合いが伸びていたのかなあ。

尚美、今は新進の劇作家として活躍している。
俺と交わった、才能のある女は、俺を踏み台にするわけでもないのだが、大きな舞台にのし上がっていく。俺って、才女に幸運をもたらす特異な星の下に生まれているのかもしれない。
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# by tsado17 | 2013-05-30 02:26 | 約束

約束(その3)

                 ・・・・・・・・★8・・・・・・・・
同人誌「鬱屈の春」の下に集まった文学サークルの沙紀との場合もそうだった。俺が沙紀を大きな舞台にのし上げてやったようなものだ。

数人の女子サークル員が女の貞操・純潔について、議論していた。
「私はレスビアンよ。男に支配されない女性を目指しているの」
「貞操・純潔は男の作り上げた、女を支配するトリックよ」
「ふん、純潔を大切にして、将来の夫になる男のために取っておくだって? 笑わせないでよ。女なんて、ハンサムな男に言い寄られ、あそこ辺りを優しく触られると我慢できなくなる生き物なのよ。自分から進んで貞操なんて捧げちゃうんだから」
沙紀の発言は、真面目な女子学生が主流を占めていた議論で完全に浮いていた。
俺は沙紀とほとんど同じ見解を持っていた。合間合間に、話の腰を折らない程度に、沙紀に同調の意見を述べていた。その辺から沙紀は俺に好意を抱いてくれたようだった。

二人で一緒に、居酒屋で酒を飲むようになった。
その夜、ふらふらに酔っ払った沙紀に生い立ちを聞かされた。
「ウ~イ、隆志、もう1本ずつ飲もうぜ。あたしさ。川崎の貧民街の汚らしい木造アパートで生まれて育ったのよ」
「小学4年のとき、同居していたママの愛人に、レイプされそうになったんだ」
「始めは、裸にされて、指で触られ、舐められるだけだったんだ。でも、とうとう無理やり入れようとしてきたの。私、研いでおいた出刃包丁を持ち出してさ。刺すつもりだったのよ。私の本気が伝わったみたい。男が引いたの。というより、チンポコが縮んで続行不能の状態になったのよ。私の男嫌いの原点よ」
「ママは川崎の堀の内のソープ嬢だったの。愛人は、12歳年下の建設現場の鳶職。ママが深夜過ぎに帰ってきてから、二人のセックスが始まるのよ。ママは仕事のセックスで疲れている筈なのに、彼との絡み合いは別物みたいなの。薄いフスマだけの隣りの部屋で、2時間近くも毎晩のようにママの嬌声と、男の荒い息遣い、二人が身体を合わせる音を聞かされていると、純潔も、貞操も、へったくれも、なくなっちゃうわよ」
「ママが早番のときの夜、二人になると、ママの愛人、相変わらず私に手を出そうとするの。そういうとき、歩いて2分のところにあるチハルのマンションに避難するようになったの。チハルのママは、ママの親友。もちろんソープ嬢よ。若いときから、一緒に働いてきたみたいなの」
「一緒に夜を過ごしているうちに。いつの間にか、私とチハル、できちゃったの。レスビアンのカップルの誕生よ」
「始めは、可愛いくて、セクシーで、ハデ系の恰好が似合うチハルに、私が一方的に惚れたのよ。色っぽくて、上品で、ミステリアスで、ピンクの胡蝶蘭のような、チハルの唇。キスしたくて、キスしたくてたまらなかったわ。でも、嫌われるのが怖くてなかなかできなかったの」
「チハル、その頃、ママのことで悩み事を抱えていたから、私、いつも優しく励ましていたわ。その夜、チハルが我慢できなくなって、とうとう泣き出して涙が止まらなくなったの。私、ごく自然と、ただ慰めたいという一念だけで、チハルの両頬を両手で挟んで、唇を合わてしまったの。始めてのキッスよ。そのとき、始めてチハルの吐く息を吸い込んで失神しそうになったわ。チハルに惚れていたのよね。それから、ごく自然にキスをする関係になったのよ。しばらくはうれしくてうれしくて、薔薇色の日々だったわよ」
「DVDで,評判のラブストーリーの映画を視て、ラストの恋人達の濃厚なキスシーンに二人ともすっごく感動したの。それがきっかけで、ディープなキスもするようになったわ。ベロベロキスの心地よさに魅せられて、夢中になったわ。テレビを視ながら、日常のなんの変哲もない会話をしながら、ディープなキスを交わすようになっていったわ。その頃からかな。二人の心の一体化を強く感じるようになったのは。お互いを恋人と認識するようになっていたのね」
「お互いの口の中の全ての造作を把握するんだと言い合って、3時間くらいも、口が痛くなるまで、舌を絡み合わせ、唾液の交換をしながら、口の周りをベトベトにしてキスをし続けたこともあったわ」
「オナニーは既に二人ともしていたわ。でも、そのうち、二人で一緒にオナニーをするようになったの。始めは手を使って、お互いを手助けして快感を高め合っていたわ」
「私が、恋人同士はあそこにもキスをするんだと何かの本で読んで、実践してみたくなったの。お口で、オナニーと同じ快感をチハルに与えられるか、試してみたの」
「最初だけ、チハル、ちょっと嫌がったかな。陰核近辺を漠然と舐めることから始まったの。舌先でクリトリスを左右に転がすように舐めると、チハルの声が今までない感じでうわずり始めたの。これだって思ったわ」
「唇ですっぽりクリトリスを覆いながら、舌先をふるわせたり、舌先をすぼめ尖らせてドリルのようにして膣口をかきまわしたり、舌技テクニックを少しずつを覚えていったのよ」
「チハル、恥ずかしがらずに、身をよじらせて大きな声をあげるようになっていったわ。肉体が変わったみたいに反応し出したの。絶頂感も感じていたのよ」
「私とチハル、自分達がレスビアンと認識し、レズプレイを堪能できるようになると、他のレズの女の子にも目が向くようになったわ。私、キスしたい可愛い子がたくさんいたけど、声をかけても、それとなく断られちゃうの。自信をなくしたわ。それでも、3人の子と身体の関係を持ったわ。私、いったん仲良くなると、長続きするのよ。私の愛撫が丁寧ですごく気持ちが良いんだって」
「チハルはすごい発展家だったわ。レズの子にすごくもてるんだもの。可愛い子を連れて来て、これ見よがしにキスをしながら、紹介したりするのよ。もう妬けて、妬けて。顔に出ないようにじっと我慢していたわ。心の広いところをアピールしていたのかな」


俺が聞いてもいないのに、沙紀ったら、チハルが少し妬いてくれたとうれしそうにそのときの会話を語ってくれたんだ。

「オネエチャン、時々、眞弓と会ってるでしょ。かなり入れ込んでいるみたいね」
「あの子、悩みがあると、私に相談にくるのよ。私の愛撫をすっごく歓んでくれるの」
「嫌だあ、あんまり眞弓と仲良くしないでよ。オネエチャン、私の恋人でしょ」
「ひょっとして、妬いてくれてるの?」
「妬いてなんていないわよ。腹が立つだけ。オネエチャン、私のことだけ、考えてよ」
「はいはい」
「眞弓、バイセクシュアルらしいわよ」
「そうなの。バイセクシュアルだって、いいじゃない。私、全然気にしてないわよ」
「眞弓と付き合うと、レズの子に嫌われるわよ」
「いいわよ。私、どうせもてないんだもの。チハルさえ、私を愛してくれていれば、それでいいわ」
「眞弓と付き合うなら、私が別れると言ったら、どうする?」
「もちろん、眞弓と別れるわよ。でも、チハルはいろいろな子と付き合って愉しんでいるのよね。私も何人かと抱き合ってもいいんじゃない?」
「そうよね。眞弓と会ってもいいわ。でも、私のことを一番に愛してよ。私、オネエチャンを深く愛しているんだから」
「もちろんよ」
「眞弓、美人じゃないけど、性格はとても可愛いのよ。会うといつも、私にキスをせがんで甘えてくるの。それにね。眞弓ったら、チハルのしたがらない69も貝あわせもやってくれるのよ。チハルと違った具合に愉しめちゃうの」
「ごめん。私、オネエチャンがタチ、私がネコと割り切り過ぎているみたいね。オネエチャンのあそこに、もっとキスをするようにする」
「ねえ、チハル、私、バイセクシュアルの意味がよくわからないの。教えてくれない?」
「皆が言うには、両性愛者のことなんだって。レスビアンの場合は、男の人も愛し、男の人ともセックスする女性のこと指すらしいわ。不潔な女の子なんだって」
「男とセックスする子は許せないの? 構わないじゃないの」
「私、実は、何度聞いても、同性愛とか、異性愛とか、両性愛とかの細かい違いがよくわからないの」
「レズとホモが同性愛だろ。男と女でセックスするのが異性愛だろ。両方の性とセックスするのが両性愛だろ。そう単純に割り切って駄目なの?」
「なんか、もっと複雑みたいなのよ」
「男とか女とか関係なく、魅力を感じて好きになった人とセックスすればいいと思うんだけどな。私の考え方って、レスビアンとしては少数意見なのかな。私ね。今はチハルや眞弓と交わるレスビだけど、少し気になっている男のダチ公がいるの。私、ひょっとしたら、バイセクシュアルになっちゃうかもしれない。そうしたら、チハル、どうする?」
「もちろん怒るわよ。でも、そのときになってみないと、わからない。私のことを一番愛してくれて、これからもずっと一緒に暮らしてくれるのなら、許しちゃうような気もするし。でも、本当にわからない」


沙紀の部屋で飲みながら、文学の話していたとき、俺にそれとなく言うんだ。
「隆志、私に手を出そうと思っても無駄よ。私には、チハルという恋人がいるんだからね」
「そんな気持ちはこれっぽっちもないよ。沙紀は俺の男のダチ公なんだからさ」
「でも、男と男の友情なら、ホモ的な友情表現なのよね」
「俺達、男と女なのにホモになっちゃうのか? さっぱり、わからんな」
「隆志、チハルは、今でも好きで好きでたまらないんだから。チハルのことを思うと、あそこがじっとりと濡れてきちゃうんだから。私に、絶対に変なこと、するなよ。ママの愛人は刺せなかったけど、隆志なんか、簡単に、刺しちゃうんだからね」
「わかったよ。あり得ない想像、でっちあげるなよ」
あえてこんなことを言い出すなんて、沙紀、なんだか俺とのセックス、意識し始めているんだって、ピーンときたよ。

沙紀は、大柄で、いかり肩のがっちりした体形。
ペチャンコの胸。膨らみのない尻。スカートが笑いたくなるくらい似合わない。
でも、顔の素材は、ふっくら気味だが悪くはないんだ。唇は厚くて妙にエロく、眼だけが異様にギラついている。黒縁の眼鏡をかけ、手入れなどしたことがなさそうな荒れ放題の肌。
しかも超短髪で、男物の服を愛用とくれば、近くに寄らない限り、男に見えてしまう。

度々、作家志望の沙紀とは、二人きりで一緒に酒を飲むようになったが、女を感じることがなく、手を出す気持ちなど、全くなかった。
男女通じて友達はほとんどいなかったが、沙紀だけは別。心を許して付き合えた。お互い、男友達としてつきあっていたのかな。男同士以上の男の堅い友情。気が合って、いつもつるんで行動するようになっていた。

沙紀の所に泊まりに行って、朝まで、青臭い文学論を闘わしたが、男と女の関係に進展することはなかった。女と同じ部屋に泊まって手を出さない自分に驚き、沙紀とは男同士の付き合いなんだと改めて確信した。

3LDKの三鷹のマンションに沙紀は住んでいる。
沙紀のママ、メンスがあがって落ち込んでいたところに、店長に肩たたきらしきことをされて、ソープの引き際が近いことを悟ったんだ。
ヒモ同然の男と別れ、生活を一新することを決意したそうだ。
コツコツ貯めていた銀行預金をはたき、腐れ縁のある川崎から遠い、武蔵野の面影の残る三鷹で、娘と一緒に老後を暮らすために、購入したマンションということだ。

「その豪華なダブルベッドに触るのは厳禁よ。そのベッド、私とチハルのためのベッドなんだから。私、バイトを増やして、頑張って買ったのよ」
結局、俺はベッドの下で布団をひいて寝せられた。

「私は、もの書きの卵。何でも経験がモットーよ。小説の中で、男をうまく描けなくて悩んでいるの。男の世界、男が好むものを体験してみたい。男の気持ちを知りたいのよ。お前、協力しろ」
「それより、女とばかり乳繰り合わないで、男と一発やれよ。その方が効果的だと思うけどな」
「わかった。男の世界の体験がダメだったら、男と一発やる」

沙紀の積極的な行動力には驚いてしまう。俺と一緒に男性トイレに平気で入るのだ。男達が小便器で用を足す姿を後ろの片隅からじっと眺めて観察するんだ。
「ねえ、ねえ、男達、老いも若きも、オシッコを終えて帰るとき、良い顔してるわねえ」
「女だって、そうだろ。すっきりしないのかい?」
「そうよね。身体の中のいらないものを廃棄したんだものね。それが、すっきり感に繋がるのよね。納得できるわ。でも、オシッコを終えたとき、腰を振っている人が多いんだけれど、何かのおまじない? 競馬に当たりますようにとか、イイ女とやれますようにとか・・」
沙紀、男便所でも、もちろん、オシッコは個室でしゃがんでやっていたが、そのときは、一緒に個室に連れこんで、眼前で、放尿してチンポコを振って実演してやった。説明より実演さ。物書きの相手は実に面倒臭い。
「納得よ。オシッコ、振り切って、パンツや床を汚さないようにしているのね。それにしても、女は終わった後、腰を振らないわね。そうか、泌尿器の構造が違うのか。代わりに女は紙で拭かなければならないのよね。でも、隆志のペニスって、フニャフニャでちんまりとしているのね」
「うるさい! 俺の好意をそんな言葉で返すんか。チンポコはいざというときに、大きくなればいいんだ。今度、お前の眼の前でビーンと聳え立たせてやる。ああ、腹が立つ」
その晩、俺は、布団の上で、素っ裸になり、ローションを塗って自分のチンポコをひたすらしごいた。不十分であったが、セックスができるくらいに固く大きくなった。沙紀、ベッドの上から、目を皿のようにして、覗き込んでいた。
「サキ、どうだい。俺のチンポコ、自分でやっても、これくらいになるんだ。好きな女とセックスするときなんか、ビーンビーンのカチンカチンさ。太さも二倍くらいになる」
ちょっと、オーバーに言ってやった。
「本当に凄い。隆志でも、こんなになるんだ」
「馬鹿野郎。でもとは、なんだ、でもとは。俺はセックスのテクニシャンだぞ。たくさんの女を泣かせてきたんだ」
「ホラ、吹くな」
「ホラかどうか、試してみろ。今度、俺とセックスしてみるか? ヒーヒーと、泣いて歓んじゃうぞ」
「結構よ。隆志なんかとするわけないでしょ」
「俺だって、サキとなんか、嫌だよ」
「でも、隆志の大きくなったペニスを見ていると、なんだか、それ、入れてみたくなっているの。考えとくわ」
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# by tsado17 | 2013-05-30 02:24 | 約束

約束(その4)

                 ・・・・・・・・★9・・・・・・・・     
男の好む場所を体験したいと言うと、隆志、しばらく考えて、セクキャバ、ストリップショウ、ピンク映画の3箇所に連れていくと決めてくれたの。


セクキャバって、セクシーサービスの受けられるキャバクラのことなんだって。
薄い仕切りの個室で、膝を跨いで乗ってきた女の子と、お酒を飲み、話をしながら、オッパイに触ったり、キスをしたりしたわ。ちょっと可愛い、私好みの子だったの。まあまあ愉しんだのかな。男って、こんな所で、ストレスを発散するのね。仕事がうまくいっていないときなど、来たくなるのね。わかるわ。でも、結構お足も出ていくんだ。

すぐに見破られたのよ。
「あなた、女でしょう。お金さえ払えば、触らせるし、キスもするけどさ。私、その方の趣味はまったくないから、何か違うのよね。お店の外では、付き合えないからね。このお店の2本裏の通りに、レスビアンのお店があるから、そっちへ行ったら」
「有難う。あなた、いい子ねえ。男の気持ちになって、愉しめたわ」
お金に困ったら、ここで働きたいなと思ったけど、私は絶対不採用よね。千春だったら、一発OKなんだろうけどね。世の中って容姿次第のところがあって、不公平なんだよな。チッ。

お店の外で待ってたら、隆志の奴、真っ赤に興奮した顔をして、千春に似た、ヴィジュアル系の可愛い女の子に送られて、唇の涎を拭き拭き、出てきたの。
「ワ~オ、おいしかった。今日は最高だった。良い子に当たった。絶対にまた行くぞ。沙紀、男の神秘の体験だ。俺の今のペニス、ちょっと触ってみろ」
「ウワッ、何よ、これ。カチンカチンじゃない」
「なっ、すごいだろう。自分好みの良い女と接触したり、キスをすると、ペニスって、こんなに固くなっちゃうんだ。白い液体が今にも飛び出そう。沙紀、テッシュを持ってるよな。3枚ほどくれよ」
「なによ、こんな所で出さないでよ」



年齢層は40代、50代の男性が多かったかな。
乳房とお尻が形良く突き出たダンサーが、音楽に合わせて、身をセクシーにくねらせて、唇を舌で舐め回しながら、着ているものを一枚一枚、脱いでいくのよ。ウエストが色っぽくくびれていて、かっこいいの。私もあんな体形に生まれていたらなあ。正直言って、羨ましかったわ。世の中って本当に不公平よね。

ご開帳タイムって、言うんだって。
踊り子がしゃがんで股を開き、ピンクの割れ目を指で開いて客に次々と披露し始めたの。許可を得て触っている人もいたわ。私と隆志、顔を寄せ合って、粘り気のある愛液の滲んでいるピンクの肉塊をじっと見つめていたんだ。隆志のもの欲しそうな唾を飲み込む音も聞こえてきたわ。
「私、あの割れ目にキスをしたいなあ」
と、小声で言うと、
「俺は、あそこに一発、ぶちこみたいよ」
やっぱり、隆志とは、女と男。感受性が少し違うのよね。
「オネエサン、ちょっと触っていいかな」
「痛くしないなら、いいわよ」
隆志ったら、恐縮しながら、ピンクの内部に、人差し指をつっこんだの。こいつも、好き者だな。好い女には、とことん弱いんだから。そして、そっと抜き出した人差し指についた愛液を舐めるのよ。少し糸を引いていたかな。
「うまい! 好い女の体液はグレープフルーツの味と香りがする。サキも味わってみるか?」
「もちろんよ。男体験に来ているんだもの」
差し出す隆志の人差し指を何度もしゃぶったわ。隆志の後だったからか、ほとんど何の味もしなかったわ。でも、私好みの女の愛液、うっとりしちゃった。
「どうだった?」
「おいしかったわ。隆志、今度、部屋で、私の愛液も、たっぷりと味あわせやっからな。何の味と香りがするか、報告しろよ」
「・・・・・」

500円払えば、ダンサーと写真が撮れるというので、あたし、四つんばいの裸のダンサーと一緒に写真を撮ったの。私、そのダンサーに憧れちゃったみたい。サインまでもらっちゃったの。
「お前、その写真、もらって、どうするんだ」
「男の気持ち体験記念よ。何だか、本当に男になっていたみたいだったの。どうしても、一緒に写真、撮りたかったんだもの。でも、チハルに見つからないところに隠さないとならないわね」
「ねえ、ねえ、私、あのダンサーの身体に恋をしてしまったみたい。どうしたら、あんな体形に近づけるのかなあ」
「サキ、お前、不可能なことは考えるな。とりあえず、女性ホルモンの錠剤でも、飲んでみたらどうだ? 気休めにはなるかもな。それよりも、やっぱ、男と何発もやった方が効果的だな」



老人介護施設で、手コキとフェラで老人達の下の処理をしてやって、お小遣い稼ぎしていたケアギバーの意地悪で好色なおばさん達を、老人同士が協力して、次々と犯して復讐していくというストーリーだった。
「驚いたよ。沙紀があんなくだらない単純な映画を2回も視るなんて。俺、退屈で寝ていたよ」
「フフフ、そんなこと、言わないで。すっごく学習しちゃったんだから。私にとっては、革命的な出来事よ」

本当に単純でつまらない筋立てだったわ。私だったら、二ひねりも三ひねりもして、より面白く、より内容のあるものにするのは、朝飯前よ。でも、本当に勉強になったの。私って、男と女のセックスに全く無知だって、知ったんだもの。
というか、小4のとき、ママの愛人に犯されかけたのがトラウマになって、男と女のセックスから逃げていたの。文学作品も男女の交わる場面が出てきたら、読まずに飛ばしていたわ。
私は、レスビアンである前に、物書きなのよね。男と女のセックスに目をつぶっていてはいけないんだわ。こうなったら、猛勉強してやるんだから。

「たくさん学んだわ。手コキ、尺八、マン汁、パイパンなんて言葉も覚えたわ」
「そんな言葉、男の子なら、中学生でも、知ってるぜ」
「来週の3本立て、『看護婦イクの汚れた下着』、『癒しの処女 濡れたバスガイド』、『情熱の痴漢電車 天国の指先』も、楽しみだわあ。2回ずつ視るからね」
「ついてけないよ。俺は行かないからな」
「隆志、お願い。教えて。今、男達に人気のあるエロ小説、エロ雑誌、エロDVD。勉強したいんだ。わからなかったら、ちゃんと調べろよ」
「なんだよ。急にエロづいちゃって。本当にお前の相手は疲れるな」

「ねえ、ねえ、女って、割れ目にペニスを入れられて出し入れされると、あのおばさん達のような表情するの?」
「そうだな。女優だから、オーバーに演技はしていたけど、基本的にはそんなに変わらないんじゃないかな」
「男の人とのセックスって、すっごく気持ちが良さそうね。今度、体験しないとな。私、快感には貪欲なんだから。チハル、怒るだろうなあ。でも、私は物書き。何でも体験がモットーよね」



「俺、政治にはほとんど興味がないんだ。国会にデモにいくなんて、かったるいよ。行きたくないな」
「隆志、そう言わずに付き合えよ。私はもの書き。世の中で起きていることを、全て経験したいの」
「しょうがないな。今回だけだぞ」

私と隆志は、よく知らないセクトのデモにもぐりこんだの。日比谷野外音楽堂を黒いヘルメットをかぶり、隊列を組んで出発したわ。アナキストのグループなんだって。
「フミコ、俺、政治に弱いんだ。アナキストって、なんだ? というか、俺、ガチガチのアナキストだぞ。穴にキスするのが大好きだもんな」
「バカ! デモ中に、くだらないジョーク、飛ばすなよ。アナキストって、無政府主義者のことよ。簡単に言うと、国家や権威の存在を望ましくない、必要でないと考える人達のことよ。お前、少しは政治にも関心を持てよ」
「俺、セイジ、まつりごとの政治でなく、性の事の性事の方なんか、メチャメチャ、関心があるぜ」
「アホ! 糞して寝ろ! あら、私としたことが、はしたない。ご免なさい。言い換える。ウンチしてオネンネしてね!」

けれども、デモの素人の悲しさ、いつの間にか最前列に押し出されて、生意気な若者達を打ちのめそうと気負い込んだ機動隊の精鋭に、面と向かって対峙させられていたわ。
勝負になんか、なりっこなかった。機動隊員の警棒でさんざん打たれて、私がまず転んだの。隆志ったら、私を守ろうとしたみたい。私の上に覆い被さってくれたわ。弱い私ををかばってくれたのよ。女性を守るという意識が知らず知らずに働いていたのかもしれないわね。皮肉な言い方をすれば、私に始めて女を感じた瞬間だったのかもしれないわ。
私と隆志は、機動隊に蹴飛ばされ、踏みつけられ、その場に倒れこんでしばらく動けなかったの。
あまり痛めつけられなかった私が、足をひきずって歩くのもやっとの隆志を励まし励まし、ほうほうの体で、三鷹のマンションにたどりついたわ。

マンションで一週間ほど、寝込むことになるんだけれど、最初の夜は半端じゃなかったわ。40度近い熱が出て、痛がって、苦しんで、朝までうわごとを言い続けていたの。

唇がグチャグチャに切れていた。少し気持ち悪かったけど、薄めたオキシドールで消毒してあげたわ。私をかばってこうなったのよね。申し訳なくて、私、隆志の唇の血を舐めてあげたの。始めてのキスだったのかな。それも、隆志の血の味のするキス。私の舌の味細胞に記憶された忘れられないキスよ。もちろん、隆志は気がついていなかったけどね。

身体の打ち身がひどくて、内出血の青あざも、二箇所、あったわ。医者には明日、連れていくとして、とりあえず、なるべく身体を動かさないようにして、顔、背中、胸、腕、脚、腰、お尻と拭いてあげたの。男性の身体をこんなにまじまじと見たのは始めてだったわ。とても新鮮だった。問題は、残った部分。股の間よ。勇気を出して、陰茎と睾丸にも触ったわ。怖かったけど、意外にもすっごく興奮している私がいたの。私って、ひょっとしたら、男とのセックス、強く望んでいるのかもしれないわね。ただただチハルに嫌われたくないので、意識の外に追い出していただけなのかもしれない。

男禁断のダブルベッドで、一緒に添い寝しちゃったのよ。うわごとを言って苦しんでいるんだもの。緊急時よね。隆志をベッドで寝かせないわけにはいかなかったわ。チハルも許してくれる筈。心の中で折り合いをつけたの。でも、無意識に、隆志のペニスを触って、もて遊んでいるウキウキしている私がいたの。私って、嫌な女ね。好奇心のやたら強い、一筋縄ではいかない女なのよ。

隆志、まだ、とても歩けないし、オシッコの処理にも困っちゃった。
「サキ、オシッコが出る。漏れそう」
隆志が恥ずかしそうに小さい声で囁いてきたの。私、身体をなんとか横向きにして、広口のビンにペニスの先端を入れてやり、オシッコさせたわ。ビンの中に尿がジワッとたまっていくの、私のあそこにもジワッと何かが溜まっていくような気がしたわ。すっごい快感。そのとき、自分が変わるんじゃないかって予感がしたの。気がついたら、夢中でペニスを触って眺めて観察していたわ。口に含む寸前で止めていたけど。

一週間も過ぎると、隆志、少しずつ痛みが引いてきたみたい。身体を動かせるようになったわ。
その頃は、隆志のペニスを平気で持つようになっていたの。触っていると隆志を支配しているようで、いい気分だったわ。横で寝ながら、さすってあげるのも日常化していたの。隆志も歓んでいたわ。むくむくと大きくなっていくのが刺激的だった。でも、まだ、亀頭の先端に軽くキスをしたり、裏筋に頬ずりするだけで、我慢していたの。まだ白い液体が噴出する以前の段階よ。

「サキ、ウンチがしたい。出るっ、出るっ、出るう」
真っ赤な顔をして、真剣な眼で、小さな小さな声で訴えてきたの。私、おかしくおかしくて、笑いを噛み殺すのに必死だったわ。肩を貸してあげて、何とかトイレに連れていった。
便器にしゃがみこむとすぐ、
ブリブリブリ、ブフォッ。ブリブリブリ。ブフォッ。ブフォッ。ブリブリ。
ものすごい音。始めて、個室で、自分以外の人のウンチをする音、放屁の音を聞いたわ。
狭いから、ものすごく臭いの。鼻がひん曲がりそうで、息もできないくらいだった。
でも、隆志の臭気、そんなに嫌でもなかったの。間違いなく隆志を好きになっていたのね。臭さを共有して、隆志の秘密を握ったようで、連帯感すら感じたのよ。
出し終えた後、お尻を上げさせて、トイレットペーパーで丁寧に丁寧に肛門周辺を拭いてあげたわ。隆志、下を向いて、真っ赤になっていた。
「サキ、すまない」
泣きそうな声で言う隆志、可愛いかったわ。
最後に、ウンチを流すトイレの水音を聞いて、満足感というか、達成感というか、思わず、微笑みが出てきちゃった。

毎日、身体を拭いてあげていたけど、頭髪、脇の下、陰毛が臭かったの。隆志の臭さに馴染んでいて、少しも嫌じゃなかったのに、一緒にお風呂に入って洗ってあげることにしたわ。私、バスタブの中で、隆志の腰に脚をからめて、首に手を廻し抱きついたの。予定通りよ。キスがしたくて、キスがしたくて、たまらなかったんだもの。
チハル以外で、始めてのベロベロキス。それも、男とのキス。その頃は隆志のことが、セックスをしてもいいくらいに、好きになっていたのね。隆志の唾液、おいしかったんだもの。

「ガリガリの骨っぽい身体を想像していたのに、肉感のある柔らかい身体に驚いたよ。その辺の並みの女の子より、よほど色気があるし、女っぽいぞ」
「そうなの。隆志に言われると、うれしいわ。私の女の部分、いっそう磨いていく気になっちゃった」

隆志、高校時代、ガールフレンドと受験勉強を一緒にしながら、合間合間に、セックスのテクニック、磨いたんだなどと、聞いただけで嘘とわかるようなことを言っていたけど、あながち嘘でもないみたい。
耳たぶ、首筋、乳首、脇腹、太股と上から下の方へ、身体中を舐めてくれたの。私の反応をみながら、感じていると思ったら、時間をたっぷりとかけるのよ。うっとりして、ボウッとしてしまったわ。

仕上げは、私の割れ目へのキス。
ゆっくりゆっくり、しつこくしつこく、丁寧に、かつ、激しく、ベロを入れて舐めてくれたの。私、もう気持ちが良くって、良くって、失神寸前だったのよ。大きな声を張り上げて、何か叫んでいたみたい。私、男にイカされたみたい。始めての経験よ。
あそこへの愛撫で、チハルが最近よくイっているんだけど、その状態に似ていたもの。
私、どうしても男とセックスをしてみたくなっていたわ。物書きの経験とかなんとかいう理由抜きで、心から隆志のペニスを入れてみたくなっていたの。私の膣と子宮がペニスを痛烈に要求し出していたのね。

「隆志の愛撫、最高だったわ。私、イッたのかな?」
「そうみたいだな。すごい声を張り上げていたぞ」
「ねえ、ねえ、隆志、お願いがあるの」
「なんだ。できることなら、聞いてやるぜ」
「この際、やっぱり、男性とのセックス、経験しておきたいの」
「わかった。協力する。もうサキの膣は、濡れ濡れ。受け入れ万全だと思う。俺の方の体勢を整えてくれないか。つまり。俺のペニスに尺八をして、大きくしてくれないか?」
「わかった。手でするように、口でしごけば、いいのよね」

私、既に大きくなりかけているペニスを咥えて、ペニスの根本を押さえ、むき出しの亀頭に、唾液をたっぷり垂らし、舌をペニスに力いっぱい押し当てて、口を上下にピストン運動させたわ。隆志のペニス、面白いくらい、ムクムクと大きくなったの。
凄い醍醐味。

私のビチョビチョのあそこに、隆志のカチンカチンのペニスが、少しずつ少しずつ、入ってきたの。私、この時点で、気持ちよくって、息が止まりそうになっていたわ。奥まで挿入さたペニス、ほとんど動かさないのよ。期待感というのかな。それが膨らんで、ジワジワっと効いてくるの。
待ち焦がれていると、軽いピストン運動に加えて、入れたまま、腰を回転させるのよ。恥骨と恥骨が触れ合う圧迫感、たまらなかったわ。
私がイキそうになると、ピストン運動、早くするの。
確かに、隆志はテクニシャンを自負するだけあるみたい。
私、もう泣いて、喚いて、わけがわからなくなっていたわ。
エクスタシーと言うの? 快感が最高潮に達して、忘我の境地よ。
要するに、私、イッたのよね。
何度、イッたのかしら。たくさんとしか言えないわ。

「隆志、私、男とセックスしたのは始めてよ。ということは、私、処女だったのよ。私の処女を奪ったのは、隆志、お前だからな。忘れるなよ」
「その割りに、痛がりもしなかったし、血も出なかった。処女をいただいたという実感がないんだけどな」
「私ね。チハルをイカせた後、欲求不満でムラムラしてたまらなかったの。それで、電動バイブレーターを使って、オナニーすることを覚えちゃったのよ。私、バイブで毎回のようにイっていたわ。私の二人目の愛人はバイブだったの。チハルも公認の愛人よ」
「私のママ、お店で、酔っ払ったりして、立たない人に遊んでもらうため、バイブレーターや張り方、結構。持っていたの。私、鏡台の引き出しから、中くらいのバイブ1本と太いバイブ1本、失敬しておいたの。先見の明があったのね」
「最近は、専ら太い方を入れてオナっていたんだもの。隆志のモノが出入りしても痛がるわけないじゃない。血が出るわけもないじゃない。正確に言うと、私の処女膜を破ったのは、中くらいのバイブの方よ」


その後、私は、隆志とのセックスに溺れてしまったわ。本物はやっぱりバイブと全然、快感が違うのよ。体温の感じられる身体を合わせて、汗と唾液と体液にまみれてのセックス、無機質のバイブと違うのは、当たり前よね。
毎日、毎日、体位を変えながら、お互いの体力と気力の続く限り身体を重ね合わせたわ。セックスの虜になってしまったの。
セックスの神秘と奥深さを追求したわ。二人とも向上心が強いでしょう。さらに快感を、さらに快感を、と際限なく求め続けたの。
上を目指して精進していたのよ。
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# by tsado17 | 2013-05-30 02:22 | 約束

約束(その5)

                 ・・・・・・・・★10・・・・・・・・
女上位の体位で、隆志の上に跨ってイキそうになっていた時よ。チハルがいきなり部屋に入ってきたの。ビックリして息が止まりそうになったわ。

「オネエチャン、何してるの?」 
「その男、誰よ。よりによって、素っ裸で、裸の男の上に跨っているなんて、信じられない。ひょっとして、セックスしていたの?」
「私、オネエチャンを驚かそうと思って、何も告げずに来たのよ。オネエチャンのママから鍵を借りて」

チハル、そのまま、泣き出してしまったの。
私、隆志をベッドの下に蹴り出して、裸のまま、チハルを抱き寄せ、二人でそのままベッドに倒れ込んだの。
チハルの服を手早く脱がせ、チュウチュウ、べチョべチョ。2時間も奉仕したのかな。こういう場合、言葉で謝るより、身体で謝るものよね。
チハル、やっと冷静に事実を受け入れられる落ち着きを取り戻していたかな。

高2のチハル.妹のような存在よ。小柄だけど、セクシーで、すっごく可愛いの。二人で街を歩くと、男達の視線が、必ずチハルを追いかけてくるのよ。
体形から、レズるときは、私が男役のタチ、チハルが女役のネコをするようになっていたわ。でも、性格は、私の方が女性っぽく、チハルの方が男性的なのよ。

私、チハルを愛しているから、レスビアンとして生きていく。けど、男とのセックスもどんどんやってみたいの。
私、こうなったら、真弓のようにバイセクシュアルとして、生きていくしかないわよね。それで、チハルが私を恋人として認めないなら、そのときは、そのときよ。それから考えるわ。
転換のない人生なんて、あり得ないものね。

「チハル、心を落ち着けて、聞いて。見ての通り、オネエチャン、バイセクシュアルだったみたい。でも、これからも、チハルをずっと愛し続ける。チハルと一緒に人生を歩み続けたいの。お願い、オネエチャンが男ともセックスすること、認めてほしいの」
「私を一番に愛しているのよね。これからもずっと一緒に暮らすのよね」
「もちろんよ」
「私、オネエチャンを深く愛している。認めるしかないじゃない」
「私の男嫌いの原点は、小4のときのママの愛人の強姦未遂よ。でも、男全般が嫌いなわけではなかったの。男とのセックスをして、セックスのダイナミズムを知ったの。チハルの知っての通り、快感に超貪欲な私よ。男とのセックスを止められそうもないわ。だからって、チハル、私を嫌いにならないでね。私の恋人は、チハルなんだから。私が一番好きな人は、チハルなんだから」

チハルの男嫌いの原点は、チハルのママが若いハンサムな男と無理心中したこと。両親に反抗した、金持ちの甘えん坊のボンボンにそそのかされて、衝動的に心中しちゃったの。
母子二人で仲良く暮らしていたチハル、突然一人ぼっちにされたのよ。チハルの男憎悪は決定的なものになったわ。チハルがまだ中学2年のときよ。私、よくチハルの部屋に行っていたけど、チハルのそのときの落ち込みは半端なものではなかったわ。見ているのも無惨。可哀想で可哀想で、私、何度も一緒に泣いたわ。私のママが身寄りのないチハルを引き取ることにしたの。それ以来、私とチハル、姉妹として暮らしてきたのよ。レスビアンの関係を続けながら。
チハルの男憎悪も、先天的なものじゃないわ。チハルも男とのセックスの素晴らしさを体感すれば、私同様、必ず、男とのセックスに目覚めて溺れるはず。チハルって、私以上に快感には貪欲なんだもの。
私、からめ手から攻めてみたわ。

「チハル、お願い。この男とセックスやってくれない。本やDVDではなく、男と女の生のセックスをじっくりと観察したいの。私、男とのセックスに経験不足でしょ。今、書いてる恋愛小説の、男と女の交合の部分、どうしてもうまく書けないのよ。私、男とのセックス、この男と経験したんだけど、ボオッとしていて、あんまり覚えていないのよ。あんな気持ちの良い状態で、自分で自分を冷静に観察なんかできないわ。どうしても、セックスのときの男と女の表情、身体の微妙な変化、発する声や呻き、客観的に観察したいんだ」
「オネエチャンの前の小説、原稿を読んだけど、感動しちゃった。オネエチャン、小説家として凄い才能があるんじゃないかな。良い小説、書いて欲しいもの、相手の男にちょっと不満があるけど、いいわ。協力する」
「おい、隆志。チハルからOKが出た。お前も協力しろ」
「仕方がないな。協力するよ」
「なんだい、そのしぶしぶ感。お前、心の中はウハウハなんだろ。チハルみたいな可愛い高校生とセックスできるんだ。それも、始めての男がお前だぜ。お前がチハルの処女を奪うんだ。こんな幸運、二度とないぜ。お前、本当は、天にも上る気持ちなんだろう」
「ハイ、そうっす。うれしくてうれしくて、オシッコ、漏らしそうっす」

「チハル、こいつ、隆志って言うの。顔は今一だけど、性格はすごくいいんだぜ。それにも増して、セックスのテクニックが抜群なんだ。私が保証する」
「チハルちゃん、よろしくっす。俺、チハルちゃんと天国への階段を一歩一歩、上って行きたいっす」
「隆志お兄さん、ふつつか者ですけど、よろしくね。私、オネエチャンに輪をかけて、快楽には貪欲だからね」
「それは、それは、愉しみっす。俺の秘術を尽くします」
「だけど、隆志、今回は、しっかりコンドームをはめろよ」
「・・・・・」

チハルは、バイブご用達の私と違って、まだまだ膣が未発達だったみたい。隆志の入魂の割れ目キスで、濡れ濡れになっている筈なのに、負担の少ない正常位でも、隆志が入れると、痛がって泣きそうな声を出すのよ。
「今回は、サキのときと違って、本当に処女をいただいたって、気がしただ。感激っす」
「そんな言い方、ないだろ。お前、短い間に、二人の美女の処女を破ったんだぞ。私に感謝しろ」
「二人の美女? ちょっと、言葉に抵抗があるんですけど。いえいえ、それぞれに素晴らしい女性でした。あそこの形状といい、抱き寄せた肉感といい、張り上げる嬌声といい、それぞれに違っていて、生涯、忘れられない経験をしました。サキ様に感謝致します」

チハル、2学期から、こちらで暮らすため、明日、川崎に私物を取りに行くんだって。ママの鏡台から、細いバイブと極太のバイブを1本ずつ持ってくるように言い渡したの。細い方はチハル用。まずは、チハルのあそこを開発して、隆志とのセックス、楽しめるようにしてやらないとな。細、中、太と、少しずつレベルアップしてやるんだ。極太の方は私用よ。太ではもう物足りないのよ」

二ヶ月もすると、チハル、隆志とのセックス、私以上に堪能するようになっていたわ。本当に、セックスに対しては、貪欲で、勘の良い子なのよ。そろそろ隆志に飽きてきているんじゃないかな。二人で、おいしそうな男を求めて、街にボーイハントに出かける時期が来ているみたい。

「俺って、意外と真面目なんだ。ここで気ままにセックス三昧の生活してもいられないんだ。卒業がかかっているんだ。国分寺の実家に帰って、本気で勉強する」
「そうか。その方が都合がいいな。こちらもそろそろ卒業を考えていたの。隆志、お前からの卒業よ。まあ、遊びにくれば、それなりに交わってはやるけど。とにかく、しばらくお別れね」
「それなりに、かよ」
「じゃあ、今夜は3Pにしようね。二人で全力をぶちまけて、気持ちよく送り出すわ。隆志、3人でやるのは、始めてだろ」
「始めてっす。サキとチハルちゃんに交互に入れられるんだ。興奮するなあ」
「隆志お兄さん、男とのセックスの基本、懇切丁寧に教えてくださって、ありがとう。チハルの身体の開発者よね。教えていただいたこと、これから、いろんな男にどんどん試していくわ。隆志お兄さんも驚くくらいに、テクニック磨いていくからね。オネエチャンと渋谷や吉祥寺の街角で男漁りを始めるからね。たまにはここに寄って、私をまた味わってね」

「3Pって、最高だな。俺、燃え過ぎて、灰になってしまったよ。また来たとき、愉しませてくれよ。国分寺と三鷹は近いからな」
「でも、それはもう無理みたい。残念ながら、今回限りになっちゃったわ。今度、隆志が来るときには、私のママもここに住んでいるからね。いくらなんでも、ママのいるところで、3Pはできないでしょ」
「ベッドには、私とオネエチャンが寝るわよ。隆志お兄さんは、オネエチャンのママと、隣りの部屋でお布団で寝てね。おばさん、52歳だけど、張りのあるいい身体しているわよ」
「隆志、年増女を経験する良いチャンスよ。私のママ、ヒモ男と別れて、寂しい思いをしていると思うの。慰めてやってね」
「ちょっとお。ちょっと熟女過ぎるような気がするんだけど・・・」
「ずっとソープで働いていたから、テクニックがすごいのよ。隆志、一段と高いテクニック、身につけられるわ。セックス修業の一環よ。心して、ママと交われよ。そうすれば、私達も交わってやるからな」
「ウヘェ~、それって、3Pじゃなく、4Pじゃないか」
「隆志、幸せだろ」
「・・・・・・」
「それに、ママ、もうメンスが止まっているから、生でできるのよ」
「・・・・・・」


「それにしても、チハルちゃんの処女をいただいたときは、コンドームをするようにとの、きついお達しだったよな。そういえば、サキの処女をもらったときは、コンドームなしで、中出ししちゃった。どうなっているんだ? ひょっとして、サキ、妊娠したのか? なんか、肉がついて、ふっくらしてきたような気もするんだよな」

私、男に妊娠させられるなんて考え、これっぽっちもなかったの。私としたことが迂闊だったわ。だから、隆志と始めてセックスしたとき、コンドームなしでやっちゃった。それからも、コンドーム、つけなかったわ。隆志とのセックスが気持ちよくって、桃源郷をさ迷うことに夢中で意識がそちらに向かわなかったの。その後も何の不安も感じていなかった。
ところが、生理予定日1週間前あたりから身体がだるく、寝ても寝ても寝足りないの。胸が張り、乳首が異常に敏感になって、これはおかしいなと思ったわ。予定日近辺になっても月のものがないのよ。今まで規則正しく来ていたのに。慌てて妊娠検査薬で調べたら、陽性反応が出ちゃったの。
なるほど、そういうことかと納得したわよ。産婦人科にいったら、間違いなく妊娠だって。この時点で、妊娠二ヶ月よ。
さあ、どうしよう。産むか、堕ろそうか。一晩、考えたわ。私、プラス志向の人間よ。あっさりしたもの。産むことにしたの。何時かは子供が欲しかったの。このチャンスは生かさなければならないわ。私、一旦決めたことには悩まないようにしているの。今は、もう私のお腹の子、生きがいよ。

「隆志の推察通り、私、どうも妊娠してるみたいなの。父親がわからない子よ。私のママと一緒の道を辿ることになっちゃった。ハハハ」
「サキ、俺とやって以来、他の男とセックスする暇はなかったよな。俺の子に決まっているだろ」
「何、言ってんのよ。私、好き者よ。隆志の知らないところで、何人もの男とバクバクやっていたんだから」
「妊娠した本人が言うんじゃ、認めるしかないな。俺の子だ言い張っても無視するんだろ。有難いような、悔しいような。複雑な気持ちだよ」
「私も、オネエチャンも、父親を知らない子なの。だから、シングルマザーになるなんて、何の抵抗もないわ」
「サキ、最後の確認だ。俺はお前が好きだ。結婚して、一緒に暮らさないか?」
「隆志オニイサン、ふざけないでよ。オネエチャンとずっと一緒に暮らすのは、私よ。横からしゃしゃり出てこないでよ」
「隆志、お気持ちだけはいただいておく。有難う。でも、私が一緒に暮らすのは、愛しているチハルよ。それ以外、考えられないわ」
「わかった。引き下がる」
「同性婚合法化が全く期待できない日本では、レスビアンのカップルが子供を持って暮らすには、シングルマザーになる道しかないのよ。まず、私が長男を出産するつもり。ひょっとしたら、隆志に似ている可能性はある。隆志とも、ゴムなしで、ずっとセックスしていたんだものな。チハルには、5年後くらいに、可愛い女の子を産んでもらいたいわ」
「オネエチャン、私もそうしたい」


蛇足だけど、私、福田沙紀は、結構、名のある文学賞の新人賞をいただいて、今は将来を有望視された作家として活躍しているのよ。気が向いたら、福田沙紀の小説、本屋で買って読んでみてね。
最近、考えるの。同じ文学を志す隆志と心を通いあわせる時期がなかったら、隆志が男嫌いの私の女を開発しセックスの悦びを教えてくれなかったら、精神と下半身の充実を共有してきた隆志という存在がなかったら、こんなに順調にここまでこれなかったような気がする。
私の最高の男友達、隆志、感謝している。
隆志、現実に妥協した人間になり過ぎているんじゃないかな。文学へ情熱を忘れてほしくないな。隆志もそろそろ詩人として売れてくれないかな。応援するわよ。隆志が怒るから、目立ったことはできないけど。
私がスランプに陥ったときは、私の所に来て、また優しく抱いてね。





                 ・・・・・・・・★11・・・・・・・・
吉祥寺のスターバックス駅前店。
朝が早いので、まだ混んでいない。深夜のバイトの疲れで、ぼうっとして珈琲を飲んでいた。うつらうつらしていたかもしれない。新型の単車がどうしても欲しく、二つのバイトを掛け持ちし、少し無理をしていた。目先の金を稼ぐだけのための労働に従事する惰性の日々。面白くもなんともない。

ハッとする。
目の前の席に、いい女が座っている。
シフォンケーキをつつき、珈琲を飲んでいる。
眼を強調した、ギャル風のメイクアップ。太腿の奥が見えそうに刺激的に組んだ脚。胸元の大きく開いた花柄レースのキャミソールワンピース。黒アミタイツのストッキング、シルバーのセクシーサンダル。
ファッション雑誌から抜け出てきたようないい女が、目の前の席に、座っている。
眠気がいっぺんに吹き飛んだ。モノクロの世界に色彩がきらびやかに輝き出す。

ワンピースの肩紐からすらりと伸びた細い腕ときれいな手。マニュキュアのほどこされた長い指。ほっそりとした首筋。受け唇の小さな口元。長い髪をお団子ヘアにアップ。こぼれるような婉然とした微笑み。胸と尻に程よく肉がついている細っそりした身体。
匂い立つ女の色気に心を奪われる。引き込まれそうになる。

俺の妄想の中で夢見ていた理想の女性が、眼の前の席に座っている。
一度でいいからこんな女を裸にしてみたい。どんな抱き心地がするんだろう。
一度で良いからあの唇にキスしてみたい。どんな味がするんだろう。
夢、夢、夢の女。
夢が現実になるなら、俺はどんな代償を払ってもいい。

女には、一応不自由はしていなかった。
が、皆、俺の容姿と引き合うような女ばかり。中の下から下の上ラインをひしめく女達。お世辞を入れても魅力的とは形容しがたい女達。


始めはまったく気づかなかった。
女も、遠い記憶でも呼び覚まそうとするかのように、俺の方をチラリチラリ見てくる。俺も相手に気づかれないように上目づかいにチラリチラリと盗み見た。自分でもわかっている。いやらしい眼差しになって注がれていることを。

「どこかで会ったような気がしていたのよ。わかったわ! その視線で!」
「えっ。どこかでお会いしたことがあります?」
「何よ。タカちゃんでしょ。ウフフ。変態の斉藤君でしょ。小学校の同級生の小森よ」

一瞬にして喉が渇き、顔全体が異常にほてった。脂汗が滴り落ちていたかもしい。
まだ毛のないつるんとしたあそこ。その割れ目から噴き出る黄ばんだ液体。ありありとマナ裏に浮んでくる。
脳の記憶中枢に厳重に閉じ込めていた、いけない思い出。
恥ずかしかった。いたたまれなかった。

「忘れたなんて言わせないわよ。私のあそこ、あれだけ観察しておいて」
「ご、ご、ご免なさい。そ、その節はお世話になりました。いや、じゃなくて、申し訳ありませんでした。まだ物事の正邪のわからない子供でしたもんで・・。小森さんのこと、すごく好きだったもので、ついつい・・。好奇心からあのようなはしたないことを・・」
しどろもどろに抗弁していた。
「まあ、いっか。私も、刺激的で、結構愉しんでいたところもあったものな。私って、ガキの頃からエロい女だったみたい。ウフフ」
救われた。潤んだ瞳。甘えるようなつぶやき。幸せだった。天にも上る気持ちって、このことだ。目の前の小森さんにいっきに恋心が芽生えていた。

小森さん、大人になって、いっそう綺麗になっている。
可愛らしい小森さんから美しい小森さんへの変身している。
魂の震えるような感動。生きていて本当に良かった。


「ねえ、ねえ、ねえ、あれって、スケベな気持ちから見ていたの?」
「と、とんでもないです。女の子のあそこはノゾミのものを、あきるほど見ていたし、触っていたし、舐めても、いました。小森さんが好きで好きでたまらなかったから、本能の命ずるまま見てしまったんです」
「そうか、それなら許すわ」
「もうあんなこと、二度としません」
「当たり前よ。今、あんなことしたら犯罪よ。でも、ちょっと見てもらいたい気もするな」
「い、いつでも拝見いたします。いえ、いえ、いえ、とんでもありません。すいません」
「ねえ、ねえ、本当に悪いと思っているなら、お昼ご飯、ご馳走してくれないかな。今、金欠なの」
「も、もちろん、お、おおごり致します」
「イタリアンが食べたい気分かな。この先においしいお店があるの」

夢のような時間だった。向き合って、小森さんの口元を見て食べるパスタ。今まで生きてきて一番楽しい食事だった。艶かしい小さな口を動かしてものを咀嚼する姿がセクシー。それだけで性器の辺りがうずき出す。できることなら、パスタになりたいと思った。
食事はおいしかった思う。味が少しも伝わってこないのだ。小森さんをうっとり眺めながら、手と口を機械的に動かしていただけ。
なんだか二人っきりでセックスをしているような気になる。グラスの水をガブガブ飲んで、顔のほてり、喉の乾きをおさめた。
良い女の食べる姿って、本当に肉感的。性交を連想させる。
「食べる」ことと「セックスする」ことは、相通じる部分が大きいと何かで読んだが、実感した。

小森さんが本当に好きだった。そして、今も好きなんだ。
小森さんを絶対にものにする。そのためなら何でもする。どんな代償でも払う。

「私も異常だったのかな。オシッコするところ、斉藤君に見せて、うっとりしていたんだもの。自己愛に浸っていたのかなあ。私ってあの頃から淫乱女の片鱗を見せていたのね。ウフフ」
「私って、淫らな女なの。周りの男達がそう噂して、皆、あきれているわ。さっきもいったけど、今でも誰かに覗かれたいっていう欲望がメラメラ蠢いたりすることがあるのよ。人間ってあまり変わらないものなのね」
「僕、僕、淫らな女性、大好物です」
「私と斉藤君って、似ているのかもしれないな。二人ともスケベ人間よね。ウフフ」
「僕は女好きのスケベ人間であることは間違いないです。でも。小森さんは考えられない」
「甘い、甘い。私、すました顔して、エッチなこと考えていることが多いのよ」
「・・・・・」
「斉藤君、油断していたら、あたし、食べ殺しちゃうぞ」
「ホ、ホ、ホンモウですぅ・・・」

「斉藤君、やけにお水を飲むのね。辛いのかな?」
「いやあ、小森さんと二人で食事していると思うと、もううれしくてうれしくて、なんだか感じちゃうんです。股の間、熱くなって、ナニが突っ張ってきているんです。で、で、喉が乾いちゃうんです」
「あら、うれしいわ」
「小森さん、僕、貴女のことがたまらなく好きだって、再確認しました。また、会っていただけませんか?」
「う~ん。どうしよう。今度の日曜日、井の頭公園に行くの。私の趣味の絵画サークルに出す絵のために少し風景画の鉛筆デッサンしておきたいんだ。付き合ってくれる?」
「もちろん、つきあいます。へえ~、小森さん、絵が好きなんだ。俺と違っていい趣味しているなあ」

「あたし、美大にいきたかったの。高3の夏までその用意をしていたわ」
「でも、知っていると思うけど、親父の会社が倒産して膨大な借金を背負ってしまっったの。同時に、私の美大行きも夢に終わってしまった」
「でも、来年から美大にいくつもりなのよ。世の中、捨てたものでもないわね。私に好意を持っているオジサマが資金提供してくださることになったの。10年遅れてきた春よ。遅咲きの小森。これから花をつけるのよ。応援してね」
「も、もちろんです」
「あたし、彫刻を専攻しようと思っている。で、今から最初の作品のタイトル、決めてあるのよ」
「へえ、何というタイトルなんですか?」
「へへへ、『オシッコする少女』ってタイトル。モデルは小学時代の私。斉藤君も他人事と思えないんじゃない」
「その作品、どんなに高くても、私が買い取りま~す!」


「小森さん、今回、再会して決心しました。僕と結婚を前提に付き合っていただけないでしょうか?」
「私、根っからの好色の淫乱女なのよ。以前はキャバクラ。今はファッションヘルスで働いているの。そして、それを、結構楽しんでいるところもあるのよ。そんな私に結婚を申し込んじゃって、いいの?」
「僕も女タラシの放蕩児。かえってうまくいくんじゃないかな」
「それも一理あるわね」
「とにかく、小森さんのことが大好きになってしまったんです。今までの生涯であなたほど好きになった女性はいません」
「うれしい。すっごくうれしい。涙が出てきそうなくらいうれしい。けど、あと半年、早かったらなあ。ごめんなさい。あたし、もう結婚の約束を交わした人がいるの」
「・・・・・」
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# by tsado17 | 2013-05-30 02:18 | 約束