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第7弾だよ。


by tsado17

約束(その5)

                 ・・・・・・・・★10・・・・・・・・
女上位の体位で、隆志の上に跨ってイキそうになっていた時よ。チハルがいきなり部屋に入ってきたの。ビックリして息が止まりそうになったわ。

「オネエチャン、何してるの?」 
「その男、誰よ。よりによって、素っ裸で、裸の男の上に跨っているなんて、信じられない。ひょっとして、セックスしていたの?」
「私、オネエチャンを驚かそうと思って、何も告げずに来たのよ。オネエチャンのママから鍵を借りて」

チハル、そのまま、泣き出してしまったの。
私、隆志をベッドの下に蹴り出して、裸のまま、チハルを抱き寄せ、二人でそのままベッドに倒れ込んだの。
チハルの服を手早く脱がせ、チュウチュウ、べチョべチョ。2時間も奉仕したのかな。こういう場合、言葉で謝るより、身体で謝るものよね。
チハル、やっと冷静に事実を受け入れられる落ち着きを取り戻していたかな。

高2のチハル.妹のような存在よ。小柄だけど、セクシーで、すっごく可愛いの。二人で街を歩くと、男達の視線が、必ずチハルを追いかけてくるのよ。
体形から、レズるときは、私が男役のタチ、チハルが女役のネコをするようになっていたわ。でも、性格は、私の方が女性っぽく、チハルの方が男性的なのよ。

私、チハルを愛しているから、レスビアンとして生きていく。けど、男とのセックスもどんどんやってみたいの。
私、こうなったら、真弓のようにバイセクシュアルとして、生きていくしかないわよね。それで、チハルが私を恋人として認めないなら、そのときは、そのときよ。それから考えるわ。
転換のない人生なんて、あり得ないものね。

「チハル、心を落ち着けて、聞いて。見ての通り、オネエチャン、バイセクシュアルだったみたい。でも、これからも、チハルをずっと愛し続ける。チハルと一緒に人生を歩み続けたいの。お願い、オネエチャンが男ともセックスすること、認めてほしいの」
「私を一番に愛しているのよね。これからもずっと一緒に暮らすのよね」
「もちろんよ」
「私、オネエチャンを深く愛している。認めるしかないじゃない」
「私の男嫌いの原点は、小4のときのママの愛人の強姦未遂よ。でも、男全般が嫌いなわけではなかったの。男とのセックスをして、セックスのダイナミズムを知ったの。チハルの知っての通り、快感に超貪欲な私よ。男とのセックスを止められそうもないわ。だからって、チハル、私を嫌いにならないでね。私の恋人は、チハルなんだから。私が一番好きな人は、チハルなんだから」

チハルの男嫌いの原点は、チハルのママが若いハンサムな男と無理心中したこと。両親に反抗した、金持ちの甘えん坊のボンボンにそそのかされて、衝動的に心中しちゃったの。
母子二人で仲良く暮らしていたチハル、突然一人ぼっちにされたのよ。チハルの男憎悪は決定的なものになったわ。チハルがまだ中学2年のときよ。私、よくチハルの部屋に行っていたけど、チハルのそのときの落ち込みは半端なものではなかったわ。見ているのも無惨。可哀想で可哀想で、私、何度も一緒に泣いたわ。私のママが身寄りのないチハルを引き取ることにしたの。それ以来、私とチハル、姉妹として暮らしてきたのよ。レスビアンの関係を続けながら。
チハルの男憎悪も、先天的なものじゃないわ。チハルも男とのセックスの素晴らしさを体感すれば、私同様、必ず、男とのセックスに目覚めて溺れるはず。チハルって、私以上に快感には貪欲なんだもの。
私、からめ手から攻めてみたわ。

「チハル、お願い。この男とセックスやってくれない。本やDVDではなく、男と女の生のセックスをじっくりと観察したいの。私、男とのセックスに経験不足でしょ。今、書いてる恋愛小説の、男と女の交合の部分、どうしてもうまく書けないのよ。私、男とのセックス、この男と経験したんだけど、ボオッとしていて、あんまり覚えていないのよ。あんな気持ちの良い状態で、自分で自分を冷静に観察なんかできないわ。どうしても、セックスのときの男と女の表情、身体の微妙な変化、発する声や呻き、客観的に観察したいんだ」
「オネエチャンの前の小説、原稿を読んだけど、感動しちゃった。オネエチャン、小説家として凄い才能があるんじゃないかな。良い小説、書いて欲しいもの、相手の男にちょっと不満があるけど、いいわ。協力する」
「おい、隆志。チハルからOKが出た。お前も協力しろ」
「仕方がないな。協力するよ」
「なんだい、そのしぶしぶ感。お前、心の中はウハウハなんだろ。チハルみたいな可愛い高校生とセックスできるんだ。それも、始めての男がお前だぜ。お前がチハルの処女を奪うんだ。こんな幸運、二度とないぜ。お前、本当は、天にも上る気持ちなんだろう」
「ハイ、そうっす。うれしくてうれしくて、オシッコ、漏らしそうっす」

「チハル、こいつ、隆志って言うの。顔は今一だけど、性格はすごくいいんだぜ。それにも増して、セックスのテクニックが抜群なんだ。私が保証する」
「チハルちゃん、よろしくっす。俺、チハルちゃんと天国への階段を一歩一歩、上って行きたいっす」
「隆志お兄さん、ふつつか者ですけど、よろしくね。私、オネエチャンに輪をかけて、快楽には貪欲だからね」
「それは、それは、愉しみっす。俺の秘術を尽くします」
「だけど、隆志、今回は、しっかりコンドームをはめろよ」
「・・・・・」

チハルは、バイブご用達の私と違って、まだまだ膣が未発達だったみたい。隆志の入魂の割れ目キスで、濡れ濡れになっている筈なのに、負担の少ない正常位でも、隆志が入れると、痛がって泣きそうな声を出すのよ。
「今回は、サキのときと違って、本当に処女をいただいたって、気がしただ。感激っす」
「そんな言い方、ないだろ。お前、短い間に、二人の美女の処女を破ったんだぞ。私に感謝しろ」
「二人の美女? ちょっと、言葉に抵抗があるんですけど。いえいえ、それぞれに素晴らしい女性でした。あそこの形状といい、抱き寄せた肉感といい、張り上げる嬌声といい、それぞれに違っていて、生涯、忘れられない経験をしました。サキ様に感謝致します」

チハル、2学期から、こちらで暮らすため、明日、川崎に私物を取りに行くんだって。ママの鏡台から、細いバイブと極太のバイブを1本ずつ持ってくるように言い渡したの。細い方はチハル用。まずは、チハルのあそこを開発して、隆志とのセックス、楽しめるようにしてやらないとな。細、中、太と、少しずつレベルアップしてやるんだ。極太の方は私用よ。太ではもう物足りないのよ」

二ヶ月もすると、チハル、隆志とのセックス、私以上に堪能するようになっていたわ。本当に、セックスに対しては、貪欲で、勘の良い子なのよ。そろそろ隆志に飽きてきているんじゃないかな。二人で、おいしそうな男を求めて、街にボーイハントに出かける時期が来ているみたい。

「俺って、意外と真面目なんだ。ここで気ままにセックス三昧の生活してもいられないんだ。卒業がかかっているんだ。国分寺の実家に帰って、本気で勉強する」
「そうか。その方が都合がいいな。こちらもそろそろ卒業を考えていたの。隆志、お前からの卒業よ。まあ、遊びにくれば、それなりに交わってはやるけど。とにかく、しばらくお別れね」
「それなりに、かよ」
「じゃあ、今夜は3Pにしようね。二人で全力をぶちまけて、気持ちよく送り出すわ。隆志、3人でやるのは、始めてだろ」
「始めてっす。サキとチハルちゃんに交互に入れられるんだ。興奮するなあ」
「隆志お兄さん、男とのセックスの基本、懇切丁寧に教えてくださって、ありがとう。チハルの身体の開発者よね。教えていただいたこと、これから、いろんな男にどんどん試していくわ。隆志お兄さんも驚くくらいに、テクニック磨いていくからね。オネエチャンと渋谷や吉祥寺の街角で男漁りを始めるからね。たまにはここに寄って、私をまた味わってね」

「3Pって、最高だな。俺、燃え過ぎて、灰になってしまったよ。また来たとき、愉しませてくれよ。国分寺と三鷹は近いからな」
「でも、それはもう無理みたい。残念ながら、今回限りになっちゃったわ。今度、隆志が来るときには、私のママもここに住んでいるからね。いくらなんでも、ママのいるところで、3Pはできないでしょ」
「ベッドには、私とオネエチャンが寝るわよ。隆志お兄さんは、オネエチャンのママと、隣りの部屋でお布団で寝てね。おばさん、52歳だけど、張りのあるいい身体しているわよ」
「隆志、年増女を経験する良いチャンスよ。私のママ、ヒモ男と別れて、寂しい思いをしていると思うの。慰めてやってね」
「ちょっとお。ちょっと熟女過ぎるような気がするんだけど・・・」
「ずっとソープで働いていたから、テクニックがすごいのよ。隆志、一段と高いテクニック、身につけられるわ。セックス修業の一環よ。心して、ママと交われよ。そうすれば、私達も交わってやるからな」
「ウヘェ~、それって、3Pじゃなく、4Pじゃないか」
「隆志、幸せだろ」
「・・・・・・」
「それに、ママ、もうメンスが止まっているから、生でできるのよ」
「・・・・・・」


「それにしても、チハルちゃんの処女をいただいたときは、コンドームをするようにとの、きついお達しだったよな。そういえば、サキの処女をもらったときは、コンドームなしで、中出ししちゃった。どうなっているんだ? ひょっとして、サキ、妊娠したのか? なんか、肉がついて、ふっくらしてきたような気もするんだよな」

私、男に妊娠させられるなんて考え、これっぽっちもなかったの。私としたことが迂闊だったわ。だから、隆志と始めてセックスしたとき、コンドームなしでやっちゃった。それからも、コンドーム、つけなかったわ。隆志とのセックスが気持ちよくって、桃源郷をさ迷うことに夢中で意識がそちらに向かわなかったの。その後も何の不安も感じていなかった。
ところが、生理予定日1週間前あたりから身体がだるく、寝ても寝ても寝足りないの。胸が張り、乳首が異常に敏感になって、これはおかしいなと思ったわ。予定日近辺になっても月のものがないのよ。今まで規則正しく来ていたのに。慌てて妊娠検査薬で調べたら、陽性反応が出ちゃったの。
なるほど、そういうことかと納得したわよ。産婦人科にいったら、間違いなく妊娠だって。この時点で、妊娠二ヶ月よ。
さあ、どうしよう。産むか、堕ろそうか。一晩、考えたわ。私、プラス志向の人間よ。あっさりしたもの。産むことにしたの。何時かは子供が欲しかったの。このチャンスは生かさなければならないわ。私、一旦決めたことには悩まないようにしているの。今は、もう私のお腹の子、生きがいよ。

「隆志の推察通り、私、どうも妊娠してるみたいなの。父親がわからない子よ。私のママと一緒の道を辿ることになっちゃった。ハハハ」
「サキ、俺とやって以来、他の男とセックスする暇はなかったよな。俺の子に決まっているだろ」
「何、言ってんのよ。私、好き者よ。隆志の知らないところで、何人もの男とバクバクやっていたんだから」
「妊娠した本人が言うんじゃ、認めるしかないな。俺の子だ言い張っても無視するんだろ。有難いような、悔しいような。複雑な気持ちだよ」
「私も、オネエチャンも、父親を知らない子なの。だから、シングルマザーになるなんて、何の抵抗もないわ」
「サキ、最後の確認だ。俺はお前が好きだ。結婚して、一緒に暮らさないか?」
「隆志オニイサン、ふざけないでよ。オネエチャンとずっと一緒に暮らすのは、私よ。横からしゃしゃり出てこないでよ」
「隆志、お気持ちだけはいただいておく。有難う。でも、私が一緒に暮らすのは、愛しているチハルよ。それ以外、考えられないわ」
「わかった。引き下がる」
「同性婚合法化が全く期待できない日本では、レスビアンのカップルが子供を持って暮らすには、シングルマザーになる道しかないのよ。まず、私が長男を出産するつもり。ひょっとしたら、隆志に似ている可能性はある。隆志とも、ゴムなしで、ずっとセックスしていたんだものな。チハルには、5年後くらいに、可愛い女の子を産んでもらいたいわ」
「オネエチャン、私もそうしたい」


蛇足だけど、私、福田沙紀は、結構、名のある文学賞の新人賞をいただいて、今は将来を有望視された作家として活躍しているのよ。気が向いたら、福田沙紀の小説、本屋で買って読んでみてね。
最近、考えるの。同じ文学を志す隆志と心を通いあわせる時期がなかったら、隆志が男嫌いの私の女を開発しセックスの悦びを教えてくれなかったら、精神と下半身の充実を共有してきた隆志という存在がなかったら、こんなに順調にここまでこれなかったような気がする。
私の最高の男友達、隆志、感謝している。
隆志、現実に妥協した人間になり過ぎているんじゃないかな。文学へ情熱を忘れてほしくないな。隆志もそろそろ詩人として売れてくれないかな。応援するわよ。隆志が怒るから、目立ったことはできないけど。
私がスランプに陥ったときは、私の所に来て、また優しく抱いてね。





                 ・・・・・・・・★11・・・・・・・・
吉祥寺のスターバックス駅前店。
朝が早いので、まだ混んでいない。深夜のバイトの疲れで、ぼうっとして珈琲を飲んでいた。うつらうつらしていたかもしれない。新型の単車がどうしても欲しく、二つのバイトを掛け持ちし、少し無理をしていた。目先の金を稼ぐだけのための労働に従事する惰性の日々。面白くもなんともない。

ハッとする。
目の前の席に、いい女が座っている。
シフォンケーキをつつき、珈琲を飲んでいる。
眼を強調した、ギャル風のメイクアップ。太腿の奥が見えそうに刺激的に組んだ脚。胸元の大きく開いた花柄レースのキャミソールワンピース。黒アミタイツのストッキング、シルバーのセクシーサンダル。
ファッション雑誌から抜け出てきたようないい女が、目の前の席に、座っている。
眠気がいっぺんに吹き飛んだ。モノクロの世界に色彩がきらびやかに輝き出す。

ワンピースの肩紐からすらりと伸びた細い腕ときれいな手。マニュキュアのほどこされた長い指。ほっそりとした首筋。受け唇の小さな口元。長い髪をお団子ヘアにアップ。こぼれるような婉然とした微笑み。胸と尻に程よく肉がついている細っそりした身体。
匂い立つ女の色気に心を奪われる。引き込まれそうになる。

俺の妄想の中で夢見ていた理想の女性が、眼の前の席に座っている。
一度でいいからこんな女を裸にしてみたい。どんな抱き心地がするんだろう。
一度で良いからあの唇にキスしてみたい。どんな味がするんだろう。
夢、夢、夢の女。
夢が現実になるなら、俺はどんな代償を払ってもいい。

女には、一応不自由はしていなかった。
が、皆、俺の容姿と引き合うような女ばかり。中の下から下の上ラインをひしめく女達。お世辞を入れても魅力的とは形容しがたい女達。


始めはまったく気づかなかった。
女も、遠い記憶でも呼び覚まそうとするかのように、俺の方をチラリチラリ見てくる。俺も相手に気づかれないように上目づかいにチラリチラリと盗み見た。自分でもわかっている。いやらしい眼差しになって注がれていることを。

「どこかで会ったような気がしていたのよ。わかったわ! その視線で!」
「えっ。どこかでお会いしたことがあります?」
「何よ。タカちゃんでしょ。ウフフ。変態の斉藤君でしょ。小学校の同級生の小森よ」

一瞬にして喉が渇き、顔全体が異常にほてった。脂汗が滴り落ちていたかもしい。
まだ毛のないつるんとしたあそこ。その割れ目から噴き出る黄ばんだ液体。ありありとマナ裏に浮んでくる。
脳の記憶中枢に厳重に閉じ込めていた、いけない思い出。
恥ずかしかった。いたたまれなかった。

「忘れたなんて言わせないわよ。私のあそこ、あれだけ観察しておいて」
「ご、ご、ご免なさい。そ、その節はお世話になりました。いや、じゃなくて、申し訳ありませんでした。まだ物事の正邪のわからない子供でしたもんで・・。小森さんのこと、すごく好きだったもので、ついつい・・。好奇心からあのようなはしたないことを・・」
しどろもどろに抗弁していた。
「まあ、いっか。私も、刺激的で、結構愉しんでいたところもあったものな。私って、ガキの頃からエロい女だったみたい。ウフフ」
救われた。潤んだ瞳。甘えるようなつぶやき。幸せだった。天にも上る気持ちって、このことだ。目の前の小森さんにいっきに恋心が芽生えていた。

小森さん、大人になって、いっそう綺麗になっている。
可愛らしい小森さんから美しい小森さんへの変身している。
魂の震えるような感動。生きていて本当に良かった。


「ねえ、ねえ、ねえ、あれって、スケベな気持ちから見ていたの?」
「と、とんでもないです。女の子のあそこはノゾミのものを、あきるほど見ていたし、触っていたし、舐めても、いました。小森さんが好きで好きでたまらなかったから、本能の命ずるまま見てしまったんです」
「そうか、それなら許すわ」
「もうあんなこと、二度としません」
「当たり前よ。今、あんなことしたら犯罪よ。でも、ちょっと見てもらいたい気もするな」
「い、いつでも拝見いたします。いえ、いえ、いえ、とんでもありません。すいません」
「ねえ、ねえ、本当に悪いと思っているなら、お昼ご飯、ご馳走してくれないかな。今、金欠なの」
「も、もちろん、お、おおごり致します」
「イタリアンが食べたい気分かな。この先においしいお店があるの」

夢のような時間だった。向き合って、小森さんの口元を見て食べるパスタ。今まで生きてきて一番楽しい食事だった。艶かしい小さな口を動かしてものを咀嚼する姿がセクシー。それだけで性器の辺りがうずき出す。できることなら、パスタになりたいと思った。
食事はおいしかった思う。味が少しも伝わってこないのだ。小森さんをうっとり眺めながら、手と口を機械的に動かしていただけ。
なんだか二人っきりでセックスをしているような気になる。グラスの水をガブガブ飲んで、顔のほてり、喉の乾きをおさめた。
良い女の食べる姿って、本当に肉感的。性交を連想させる。
「食べる」ことと「セックスする」ことは、相通じる部分が大きいと何かで読んだが、実感した。

小森さんが本当に好きだった。そして、今も好きなんだ。
小森さんを絶対にものにする。そのためなら何でもする。どんな代償でも払う。

「私も異常だったのかな。オシッコするところ、斉藤君に見せて、うっとりしていたんだもの。自己愛に浸っていたのかなあ。私ってあの頃から淫乱女の片鱗を見せていたのね。ウフフ」
「私って、淫らな女なの。周りの男達がそう噂して、皆、あきれているわ。さっきもいったけど、今でも誰かに覗かれたいっていう欲望がメラメラ蠢いたりすることがあるのよ。人間ってあまり変わらないものなのね」
「僕、僕、淫らな女性、大好物です」
「私と斉藤君って、似ているのかもしれないな。二人ともスケベ人間よね。ウフフ」
「僕は女好きのスケベ人間であることは間違いないです。でも。小森さんは考えられない」
「甘い、甘い。私、すました顔して、エッチなこと考えていることが多いのよ」
「・・・・・」
「斉藤君、油断していたら、あたし、食べ殺しちゃうぞ」
「ホ、ホ、ホンモウですぅ・・・」

「斉藤君、やけにお水を飲むのね。辛いのかな?」
「いやあ、小森さんと二人で食事していると思うと、もううれしくてうれしくて、なんだか感じちゃうんです。股の間、熱くなって、ナニが突っ張ってきているんです。で、で、喉が乾いちゃうんです」
「あら、うれしいわ」
「小森さん、僕、貴女のことがたまらなく好きだって、再確認しました。また、会っていただけませんか?」
「う~ん。どうしよう。今度の日曜日、井の頭公園に行くの。私の趣味の絵画サークルに出す絵のために少し風景画の鉛筆デッサンしておきたいんだ。付き合ってくれる?」
「もちろん、つきあいます。へえ~、小森さん、絵が好きなんだ。俺と違っていい趣味しているなあ」

「あたし、美大にいきたかったの。高3の夏までその用意をしていたわ」
「でも、知っていると思うけど、親父の会社が倒産して膨大な借金を背負ってしまっったの。同時に、私の美大行きも夢に終わってしまった」
「でも、来年から美大にいくつもりなのよ。世の中、捨てたものでもないわね。私に好意を持っているオジサマが資金提供してくださることになったの。10年遅れてきた春よ。遅咲きの小森。これから花をつけるのよ。応援してね」
「も、もちろんです」
「あたし、彫刻を専攻しようと思っている。で、今から最初の作品のタイトル、決めてあるのよ」
「へえ、何というタイトルなんですか?」
「へへへ、『オシッコする少女』ってタイトル。モデルは小学時代の私。斉藤君も他人事と思えないんじゃない」
「その作品、どんなに高くても、私が買い取りま~す!」


「小森さん、今回、再会して決心しました。僕と結婚を前提に付き合っていただけないでしょうか?」
「私、根っからの好色の淫乱女なのよ。以前はキャバクラ。今はファッションヘルスで働いているの。そして、それを、結構楽しんでいるところもあるのよ。そんな私に結婚を申し込んじゃって、いいの?」
「僕も女タラシの放蕩児。かえってうまくいくんじゃないかな」
「それも一理あるわね」
「とにかく、小森さんのことが大好きになってしまったんです。今までの生涯であなたほど好きになった女性はいません」
「うれしい。すっごくうれしい。涙が出てきそうなくらいうれしい。けど、あと半年、早かったらなあ。ごめんなさい。あたし、もう結婚の約束を交わした人がいるの」
「・・・・・」
by tsado17 | 2013-05-30 02:18 | 約束